日本における仮想通貨(暗号資産)の税制は、これまで「雑所得」として総合課税の対象となり、最大で55%の累進課税が適用されてきました。しかし、2020年代半ばに向けて大きな税制改正が予定されており、仮想通貨の利益に対する税率が一律約20%の申告分離課税へと変更される見込みです。本記事では、「仮想通貨税金20パーセントはいつから適用されるのか」という疑問に対し、最新の動向や背景、具体的な改正内容をわかりやすく解説します。
現在の仮想通貨の税制状況
現行の日本の税制では、仮想通貨取引で得た利益は「雑所得」として扱われ、給与所得など他の所得と合算して課税される総合課税方式が採用されています。このため、所得が増えるほど税率も高くなり、最大で55%(所得税45%+住民税10%)に達することがあります。つまり、仮想通貨で大きな利益を得た場合、非常に高い税負担が発生する仕組みです。
また、損失が出た場合の繰越控除は認められておらず、損失を翌年以降に繰り越して控除することができません。この点も投資家にとっては負担となっていました。
なぜ税制改正が必要なのか?
仮想通貨市場の拡大とともに、税制の公平性や投資環境の整備が求められるようになりました。特に、株式やFXなど他の金融商品と比較して、仮想通貨の税率が高く、損失繰越もできないことは投資家にとって不利な状況です。
こうした背景から、政府や金融庁、業界団体は仮想通貨に関する税制の見直しを進めており、より投資しやすい環境を整えるために申告分離課税の導入が検討されています。
仮想通貨税金20パーセントはいつから?
2025年末の税制改正大綱に仮想通貨の申告分離課税導入が盛り込まれ、2026年度(2026年1月以降)から新しい税制が適用される可能性が高いとされています。具体的には、仮想通貨の利益に対して一律20.315%(所得税15.315%+住民税5%+復興特別所得税0.315%)の税率が適用される見込みです。
この改正は、2025年6月末までに金融庁が制度検証を行い、その結果を踏まえて法整備が進められる予定です。2025年12月の税制改正大綱で正式に盛り込まれ、2026年の通常国会で法案が可決されれば、2026年1月または2027年1月から施行される可能性があります。
申告分離課税とは?
申告分離課税とは、仮想通貨の利益を他の所得と合算せず、独立して一定の税率で課税する方式です。これにより、所得の多寡にかかわらず一律の税率が適用され、税負担の予測がしやすくなります。
また、株式やFX取引と同様に、損失が出た場合は翌年以降3年間にわたり損失繰越控除が認められる予定で、損失を将来の利益から差し引くことが可能となります。これにより、投資リスクの軽減が期待されます。
改正後の主なポイント
| 項目 | 現行制度(~2025年) | 改正後(2026年~予定) |
|---|---|---|
| 課税方式 | 総合課税(雑所得) | 申告分離課税 |
| 税率 | 最大55%(所得税45%+住民税10%) | 一律20.315%(所得税15.315%+住民税5%+復興特別所得税0.315%) |
| 損失繰越 | 不可 | 3年間可能 |
| NISA適用 | 可能 | 当面不可 |
税制改正のメリット
- 税率の引き下げにより、仮想通貨取引の利益にかかる税負担が軽減されます。
- 損失繰越控除の導入で、損失が出た年の翌年以降3年間にわたり控除が可能となり、投資リスクの管理がしやすくなります。
- 申告分離課税の導入により、他の所得と合算せずに税額が確定するため、税務処理がシンプルになります。
- 株式やFXと同様の税制となることで、金融商品間の税制の公平性が向上します。
今後のスケジュールと注意点
2024年7月から10月にかけて業界団体などから税制改正の要望が提出され、財務省が意見を集約しました。2025年12月頃には与党の税制調査会が税制改正大綱を公表し、2026年の通常国会で法案が審議・可決される見込みです。
法案が成立すれば、2026年1月または2027年1月から新税制が施行されますが、過去の取引に遡って適用されることはありません。したがって、改正前の取引については現行の税制が適用され続けます。
また、NISA(少額投資非課税制度)については、当面の間、仮想通貨取引への適用は見込まれていないため、注意が必要です。
まとめ
日本の仮想通貨税制は、2026年度から大きく変わり、これまで最大55%だった税率が一律約20%の申告分離課税へと引き下げられる見込みです。これにより、税負担の軽減や損失繰越控除の導入など、投資家にとってより公平で分かりやすい税制が実現します。法案の成立と施行に向けて、最新の情報を注視しつつ、適切な準備を進めることが重要です。
仮想通貨税20%はいつから?2026年導入見込みと改正のポイントをわかりやすく解説をまとめました
仮想通貨の税率20パーセントの申告分離課税は、2026年1月または2027年1月からの施行が見込まれています。2025年末の税制改正大綱と2026年の通常国会での法案可決を経て正式に決定される予定であり、これにより仮想通貨取引の税負担が大幅に軽減されることが期待されています。



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