はじめに
ビットコインへの投資に関心を持つ投資家の間で、「楽天証券でビットコインETFを購入できるのか」という質問が増えています。楽天証券は国内有数のネット証券として知られており、多くの投資商品を取り扱っていますが、ビットコインETFについては特別な状況にあります。本記事では、楽天証券におけるビットコインETFの現状、ビットコインETFの仕組み、そして今後の可能性について詳しく解説します。
楽天証券でビットコインETFは購入できるのか
現状:購入不可
残念ながら、現在のところ楽天証券ではビットコインETFを購入することができません。楽天証券はSBI証券に次ぐ規模を持つ国内有数のネット証券であり、多くの投資信託や海外ETFを取り扱っていますが、ビットコインETFについては取り扱い対象外となっています。
この状況は楽天証券に限った話ではなく、SBI証券やマネックス証券といった主要なネット証券でも同様です。日本国内の証券取引所にはビットコインETFが上場されておらず、米国市場などの海外に上場しているビットコインETFについても、これらの国内証券会社では取り扱いがありません。
規制上の制約
ビットコインETFが日本で購入できない背景には、金融商品取引法および各証券会社の自主規制による制約があります。日本の金融庁は暗号資産関連ETFの規制整備を進めているところですが、実際に国内証券会社で購入可能になるのは2026年以降になる見込みとされています。
楽天証券も海外の動向には注視しており、日本で申請が出されるようなことがあれば、将来的に取り扱いが始まる可能性があります。
ビットコインETFとは何か
基本的な定義
ビットコインETFは、ビットコインの価格に連動することを目指す上場投資信託(ETF)です。ETFは投資信託の一種であり、証券会社を通じて株式と同様に売買されます。ビットコインETFを通じて投資することで、投資家はビットコインを直接保有することなく、その価格変動の恩恵を受けることができます。
現物型と先物型の2つのタイプ
ビットコインETFには、大きく分けて2つの種類があります。
現物型ビットコインETFは、運用会社が実際にビットコインを購入・保管し、その価格に連動するように運用されるものです。投資家から集めた資金を使ってビットコインを購入し、専門の管理会社(カストディアン)によって厳重なセキュリティの下で保管されます。投資家は、ETFを通じて間接的にビットコインを保有することになります。
先物型ビットコインETFは、ビットコインの先物契約に投資するETFです。先物契約とは、将来の決められた期日に、あらかじめ決められた価格で商品を売買する契約のことを指します。運用会社は、CME(シカゴ・マーカンタイル取引所)などの規制された取引所で取引されているビットコイン先物を売買することで、ビットコイン価格への連動を目指します。
ビットコインETFのメリット
少額から投資が可能
ビットコインに直接投資する場合、かなりの資金が必要になることがあります。しかし、ETFであれば株式と同様に一口単位での取引が可能です。米国で上場しているビットコイン現物ETFも、一口あたり数千円から数万円程度で購入できるものが多くあります。これにより、これまで資金的なハードルを感じていた投資家でも、お小遣い程度の少額から気軽にビットコインへの投資を始めることができます。
セキュリティの安全性
ビットコインを直接保有する場合、ハッキングや詐欺のリスクが存在します。一方、ビットコインETFを通じて投資する場合、運用会社が厳重なセキュリティの下でビットコインを管理するため、これらのリスクが大幅に低減されます。
税制上のメリット
日本では暗号資産を直接保有する場合、税制上の雑所得として扱われ、売却益に対して最大55%の税率が課される場合があります。一方、ビットコインETFを通じて投資する場合は、金融商品の譲渡益として扱われ、申告分離課税(20%程度)が適用されるため、大きなメリットがあります。
流動性と取引の利便性
ビットコインETFは証券取引所で取引されるため、通常の取引時間内にリアルタイムで売買が可能です。価格がリアルタイムで変動するため、売買のタイミングを柔軟に選べます。また、通常の投資信託に比べて手数料が低く、コストを抑えながら分散投資をしたい人や、長期運用を考えている投資家にとって便利な選択肢となります。
ビットコイン関連産業への信用向上
ビットコインETFが承認・上場されることで、ビットコインおよび暗号資産全体への信用が高まります。これは機関投資家や一般投資家の参入を促進し、市場全体の成熟度を高めることにつながります。
楽天証券でのビットコイン関連投資の代替手段
ブロックチェーン関連ファンド
楽天証券では、直接的なビットコインETFは取り扱っていませんが、ブロックチェーン技術に関連する投資信託を提供しています。例えば、「インベスコ 世界ブロックチェーン株式ファンド」は、ブロックチェーン技術を活用する企業の株式に投資するファンドです。このようなファンドを通じて、ブロックチェーン産業全体の成長に間接的に投資することができます。
暗号資産関連株式ファンド
楽天証券では「暗号資産関連株式ファンド」も取り扱っており、世界の金融商品取引所に上場する暗号資産関連企業の株式に投資することができます。このファンドを通じて、ビットコインおよび暗号資産市場に関連する企業の成長に投資することが可能です。
ビットコイン関連企業への転換社債投資
楽天証券では、ビットコインを企業のトレジャリーとして保有している企業が発行する転換社債への投資を通じて、ビットコイン関連企業へのエクスポージャーを得ることができるファンドも提供しています。
海外口座を活用した投資方法
海外証券口座の開設
楽天証券でビットコインETFが購入できない場合、海外の証券会社で口座を開設し、米国市場などで上場しているビットコインETFを購入する方法があります。ただし、この方法には為替リスクや税務申告の複雑さなど、追加的な考慮事項があります。
国内暗号資産取引所での現物購入
別の選択肢として、国内の暗号資産取引所でビットコインの現物を直接購入する方法もあります。この方法では、ビットコインを直接保有することになるため、セキュリティ管理が重要になります。
ビットコインETFの世界的な動向
米国での承認と市場への影響
米国ではビットコインETFの承認が進んでおり、現物型のビットコインETFが複数承認されています。これらのETFの承認は、ビットコイン市場に大きな影響を与えており、機関投資家の参入を促進しています。
ビットコインETFが承認される前は、承認期待によってビットコイン価格が上昇する傾向が見られました。しかし、実際に承認されると、「Sell the Fact」と呼ばれる現象が起こり、一時的に価格が調整される可能性があります。これは、承認期待で買い進んでいた投資家が利益確定売りを行うためです。
日本での今後の展開
日本の金融庁は暗号資産関連ETFの規制整備を進めており、国内でのビットコインETF上場に向けた準備が進められています。実現時期については2026年以降と見込まれており、楽天証券を含む国内証券会社での取り扱いが期待されています。
投資家が知っておくべき重要なポイント
ビットコインETFはビットコイン購入の理由ではない
ビットコインETFが承認されることは、ビットコインへの投資をより容易にしますが、それ自体がビットコインを購入する理由になるわけではありません。投資家は、ビットコインの本質的な価値や投資目的を理解した上で、投資判断を行う必要があります。
機関投資家の参入による市場の変化
ビットコインETFの承認により、個人投資家だけでなく機関投資家もビットコイン市場に参入しやすくなります。これにより、市場の流動性が向上し、価格変動がより安定する可能性があります。一方で、機関投資家の大口取引による価格変動も考えられます。
分散投資の重要性
ビットコインETFを含む暗号資産関連投資は、ボラティリティが高い資産クラスです。投資家は、全体的なポートフォリオの中でビットコインETFの位置づけを明確にし、適切な分散投資を心がけることが重要です。
楽天証券の今後の対応への期待
規制環境の整備を待つ
楽天証券は、日本の金融庁による規制整備の進展を注視しています。国内でビットコインETFの申請が出されるようになれば、楽天証券も取り扱いを開始する可能性が高いと考えられます。
顧客ニーズへの対応
ビットコインおよび暗号資産への投資ニーズが高まる中、楽天証券は顧客の要望に応えるべく、ブロックチェーン関連ファンドや暗号資産関連株式ファンドなどの代替商品を提供しています。これらは、ビットコインETFが利用できない現在の状況下で、ビットコイン関連市場へのエクスポージャーを得るための有効な手段となります。
まとめ
現在のところ、楽天証券ではビットコインETFを直接購入することはできません。しかし、これは日本の金融規制の段階的な整備プロセスの一部であり、将来的には状況が変わる可能性があります。楽天証券は国内有数のネット証券として、規制環境の整備に伴い、ビットコインETFの取り扱いを開始することが期待されています。それまでの間、投資家はブロックチェーン関連ファンドや暗号資産関連株式ファンドなどの代替手段を活用することで、ビットコイン関連市場への投資を実現することができます。ビットコインETFの承認と上場は、暗号資産市場の成熟と機関投資家の参入を促進する重要なマイルストーンとなるでしょう。
楽天証券でビットコインETFは買える?現状・規制と代替投資、今後の見通しをまとめました
楽天証券でのビットコインETF購入については、現在は不可能ですが、今後の可能性は十分にあります。日本の金融規制が整備され、ビットコインETFが国内で承認されるようになれば、楽天証券を含む主要なネット証券での取り扱いが開始されることが期待されています。それまでの間、投資家は楽天証券が提供するブロックチェーン関連ファンドや暗号資産関連株式ファンドを活用することで、ビットコイン関連市場への投資を進めることができます。ビットコインETFの登場は、暗号資産投資をより身近で安全なものにする重要なステップとなるでしょう。



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