ビットコイン税率が大改正：2025年の最大55%から2026年一律約20.315%へ—計算方法と節税の全ポイント

ビットコインをはじめとする仮想通貨の取引で得た利益にかかる税金は、2025年までの現行制度と2026年以降に予定されている税制改正で大きく変わる見込みです。本記事では、現行の税率体系から将来の改正内容、税金の計算方法、節税のポイントまで幅広く解説します。仮想通貨の税制は複雑ですが、正しい知識を持つことで適切な申告と納税が可能となり、安心して取引に臨めます。

1. 現行のビットコイン税率の仕組み

2025年現在、日本のビットコインなど仮想通貨の利益は「雑所得」として扱われ、給与所得など他の所得と合算して課税される「総合課税」の対象です。所得税は累進課税制度で、所得が増えるほど税率も高くなり、最大で45％に達します。これに加えて住民税が一律10％かかるため、合計で最大55％の税率が適用されることになります。

課税される所得金額	所得税率
195万円以下	5%
195万円超～330万円以下	10%
330万円超～695万円以下	20%
695万円超～900万円以下	23%
900万円超～1,800万円以下	33%
1,800万円超～4,000万円以下	40%
4,000万円超	45%

例えば、仮想通貨の利益が大きい場合は、所得税と住民税を合わせて55％の税率がかかるため、他の金融商品に比べて税負担が重くなるケースがあります。

課税のタイミングと対象

ビットコインを日本円に換金した時だけでなく、暗号資産同士の交換やビットコインで商品やサービスを購入した時点でも課税対象となります。つまり、売買や利用のたびに利益が発生していれば、その差額に対して税金がかかります。

2. 2026年からの税制改正予定とその内容

2025年末までに金融庁の検証が進み、2026年度からは仮想通貨の利益に対して「申告分離課税」が導入される見込みです。これにより、現行の総合課税から分離課税へと課税方式が変更され、税率も大幅に引き下げられます。

項目	現行制度（～2025年）	改正後（2026年～予定）
課税方式	総合課税（雑所得）	申告分離課税
税率	最大55％（所得税45％＋住民税10％）	一律20.315％（所得税15.315％＋住民税5％）
損失繰越	不可	3年間可能

申告分離課税とは、仮想通貨の利益を他の所得と合算せずに独立して課税する方式で、株式やFXの税制と同様の扱いになります。これにより、所得が高い人でも税率が一定となり、最大55％から約20％へと大幅に軽減されるため、税負担が大きく減ることが期待されています。

損失繰越の導入

改正後は仮想通貨取引で生じた損失を3年間繰り越して、翌年以降の利益と相殺できるようになる予定です。これにより、損失が出た年の税負担を軽減し、長期的な資産運用の柔軟性が高まります。

3. ビットコインの税金計算方法と申告のポイント

利益の計算方法

ビットコインの利益は「売却価格（または使用時の時価）」から「取得価格」を差し引いて計算します。取得価格は、購入時の価格だけでなく、複数回に分けて購入した場合は平均取得単価を用いる「移動平均法」が一般的です。

計算式の例：

（購入前の簿価総額 + 新規購入額） ÷ （購入前の数量 + 新規購入数量） = 平均取得単価

この平均取得単価を基に、売却や使用時の価格との差額が利益として計上されます。

確定申告の手順

ビットコインの利益は雑所得に分類されるため、給与所得者でも年間の利益が20万円を超える場合は確定申告が必要です。申告の際には、取引履歴の詳細（日時、数量、価格など）を記録した書類を準備し、正確な所得計算を行います。

給与所得者は勤務先から発行される源泉徴収票も必要となります。申告分離課税が導入されれば、申告方法や計算も変わるため、最新の税制情報に注意が必要です。

4. 個人と法人の税率の違い

個人の仮想通貨利益は上述の通り雑所得として課税されますが、法人の場合は法人税が適用されます。法人税率は原則23.2％ですが、中小法人の場合は所得800万円以下の部分に対して軽減税率15％が適用されることがあります。

2025年の税制改正でこの軽減措置は2027年3月31日まで延長されており、法人で仮想通貨取引を行う場合は個人とは異なる税率体系が適用されるため、法人設立や運用の際には専門家に相談することが望ましいです。

5. 他国の仮想通貨税制との比較

国	税率	損失繰越	特徴
日本（現行）	最大55%	不可	総合課税（雑所得）
日本（改正後）	20.315%	3年間可能	申告分離課税
米国	譲渡所得として累進課税	可能	長期保有で軽減税率あり
ドイツ	一定期間保有後は非課税	ー	1年以上保有で非課税

日本の税制改正は、国際的な競争力強化や投資環境の整備を目的としており、申告分離課税の導入は他国と比較しても合理的な措置といえます。

6. ビットコイン税制に関する節税のポイント

税制改正前の現行制度では、利益が大きくなるほど税率が上がるため、利益確定のタイミングや損失の活用が重要です。改正後は税率が一定になるため、節税の方法も変わってきますが、以下のポイントは押さえておくとよいでしょう。

取引履歴を正確に記録し、利益計算の根拠を明確にする
損失が出た場合は、改正後は3年間繰り越せるため、損失の計上を忘れない
法人での取引を検討する場合は、法人税率や軽減措置を活用する
税制改正の最新情報を常にチェックし、適切な申告方法を選択する

これらを踏まえ、税理士など専門家の助言を受けることも有効です。

7. まとめ

ビットコインを含む仮想通貨の税率は、2025年までは最大55％の総合課税が適用されますが、2026年からは申告分離課税の導入により一律約20.315％に引き下げられる予定です。これにより、税負担が大幅に軽減され、損失繰越も可能になるため、より柔軟な資産運用が可能となります。利益の計算や申告には正確な取引記録が不可欠であり、個人・法人それぞれの税率や制度の違いを理解することが重要です。税制改正の動向を注視しつつ、適切な申告を心がけましょう。