暗号資産の利益が年間20万円以下なら確定申告は不要？給与所得者が知るべき計算方法と住民税対策

暗号資産取引で得た利益が年間20万円以下の場合、給与所得者であれば確定申告が不要になる可能性が高いです。このルールは多くの人を対象にし、税務手続きを簡素化するメリットを提供します。以下では、このテーマを詳しく解説し、役立つ知識をまとめます。

暗号資産の利益が雑所得として扱われる理由

暗号資産、つまり仮想通貨による取引で生じた利益は、税務上「雑所得」に分類されます。これは給与や事業所得とは異なり、他の所得と合算して課税される総合課税の対象です。保有しているだけでは課税されませんが、売却や交換、使用などで利益が出た場合に課税の対象となります。この仕組みは、暗号資産の普及に伴い、税務当局が明確に定めたものです。

20万円以下の利益で確定申告が不要になる条件

会社員や公務員などの給与所得者で、年末調整を受けている場合、暗号資産を含む給与以外の所得（雑所得）の合計が年間20万円以下であれば、所得税の確定申告は不要です。これは課税自体が免除されるわけではなく、申告義務が免除される点に注意が必要です。たとえば、暗号資産取引で15万円の利益が出ても、他の副業所得が5万円以内に収まっていれば、合計20万円以下となり申告不要となります。このルールは、少額の取引を気軽に行えるよう配慮したものです。

誰がこのルールを適用できるか

給与所得者（会社員、公務員）で、給与以外の所得合計が20万円以下の人
給与収入が年間2,000万円以下の給与所得者
暗号資産取引以外の雑所得も含めて計算

一方、個人事業主やフリーランス、年金所得者（公的年金400万円超）の場合は、基礎控除額（48万円）を超える所得があれば申告が必要です。この違いを理解することで、自分の状況に合った対応が可能です。

住民税の申告は別途必要になるケース

所得税の確定申告が不要でも、住民税の申告は市区町村に対して行う必要があります。暗号資産の利益と他の所得を合算した額が住民税非課税限度額を超える場合、住民税が発生します。確定申告をしていれば税務署から自治体へデータが連携されるため、住民税申告は不要ですが、20万円以下の場合は住民税申告を忘れずに。自治体のウェブサイトで必要書類を確認するとスムーズです。この手続きにより、地方税の正確な計算が確保されます。

利益の計算方法を正しく理解する

暗号資産の利益は、取得価額から譲渡価額を引いた額で計算します。取得価額は移動平均法や総平均法で算出可能で、取引所が提供するツールを活用すると便利です。たとえば、ビットコインを複数回購入した場合、各取引の平均取得単価を基に利益を割り出します。20万円以下に収まるよう取引を管理することで、申告の手間を減らせます。記録をしっかり残す習慣が、後々の税務を楽にします。

具体的な計算例

2025年に100万円で暗号資産を購入し、120万円で売却した場合、利益は20万円ちょうどです。この場合、給与所得者であれば確定申告不要ですが、住民税申告を確認しましょう。こうした簡単な計算で全体像がつかめます。

2025年税制改正のポイントと20万円ルールへの影響

2025年の税制改正では、主に法人の期末評価課税が見直され、自社発行トークンの未売却分に課税されなくなりました。個人レベルでは、暗号資産の利益が雑所得のまま総合課税（最大55％）が継続しますが、20万円以下のルールは変わらず適用されます。将来的に申告分離課税（約20％）への移行が議論されていますが、現時点では20万円基準が有効です。この改正を知ることで、長期的な税務計画が立てやすくなります。

改正前の注意点

損益通算ができない（他の雑所得との損失相殺不可）
損失の繰越も不可
複数取引の記録管理が重要

これらを踏まえ、取引履歴を取引所からエクスポートして保存しましょう。

確定申告が必要になる場合の準備

利益が20万円を超えると確定申告が必要です。e-Taxや会計ソフトを使って簡単に申告できます。必要経費として取引手数料や送金手数料を差し引けるので、記録を活用。給与所得と合算した課税所得に応じて税率が5％から45％まで適用され、住民税10％が加わります。20万円ギリギリの場合、翌年に持ち越すなどの工夫も検討できます。

所得税率の概要

課税所得金額	税率	控除額
1,000円〜194万9,000円	5%	0円
195万円〜329万9,000円	10%	9万7,500円
330万円〜694万9,000円	20%	42万7,500円
695万円〜899万9,000円	23%	63万6,000円
900万円〜1,799万9,000円	33%	153万6,000円