暗号資産相続の実務ガイド:取引所手続き・秘密鍵対応・相続税のポイント

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コラム

このページは、暗号資産(仮想通貨)を相続する・相続される際に押さえておくべき実務手順、税務上の扱い、注意点と実例に基づく対処法を、複数の公的・専門的な情報源をもとにわかりやすく整理した実務ガイドです。具体的な投資助言や価格予想は行わず、相続手続きと税務申告をスムーズに進めるための実用的な情報を中心に解説します。

この記事の対象読者

  • 暗号資産を遺した被相続人(ご家族)を持つ相続人
  • 暗号資産を相続しそうな親族・友人
  • 相続手続きや相続税申告の担当者(司法書士・税理士・弁護士等)
  • デジタル資産の事前整理(事前対策)を考えている資産保有者

重要ポイント(要約)

  • 暗号資産も相続財産であり、相続税の課税対象である(換金すれば日本円となるため他の財産と同様の扱い)。[1]
  • 相続評価は「相続開始時点の時価」で行うのが原則で、申告時にこれを基に評価・計算する必要がある。[9]
  • まずは保有状況の特定(ウォレット/取引所の調査)。ログや郵便物、生前のやり取りなどが手掛かりになる。[1][4]
  • 取引所は相続専用の手続き窓口を設けていることが多く、必要書類に従って請求する(残高証明や相続届の提出など)。[3][7]
  • 秘密鍵・パスワードが不明な場合の対応が重要で、事前の情報整理や遺言への明記、信頼できる仕組みづくりが有効である。[4][5]
  • 税務上の計算方法や申告書類の準備が必要で、場合により税理士等の専門家へ相談すべきケースがある。[6][9]

1. 暗号資産は相続財産か?—法的・税務的立場

暗号資産(仮想通貨)は、被相続人の有する財産として相続の対象になります。これは、暗号資産を換金することで日本円等の財産価値に変換できるため、他の財産と同じように遺産分割や相続税の課税対象になると解釈されています。[1]

相続税評価の基準

相続税の評価は原則として「相続開始日(被相続人が亡くなったと認定される日)の時価」で行われます。つまり、被相続人が死亡した日時点における暗号資産の市場価格を基準に評価し、その合計額に基づいて相続税の課税対象となります。[9]

2. 初動:まず何をするか(探索と確認)

被相続人の暗号資産を特定することが最初のステップです。暗号資産は銀行口座のように中央で一元管理されているわけではなく、取引所アカウントや自己管理のウォレット(ハードウェアウォレットやソフトウェアウォレット)、コールドストレージなどに分散しているため、早急かつ丁寧な調査が必要です。[1][4]

探索の手がかり

  • パソコン・スマートフォンのブラウザ履歴やアプリ、メール(取引所からの通知)を確認する。[1]
  • 郵便物・利用明細・銀行引き落とし履歴(取引所への入金履歴)を調べる。[1]
  • 被相続人の日常会話やメモ、メッセンジャーの履歴などを確認して、取引所名やウォレット名の手がかりを探す。[1]
  • 家族や親しい友人に尋ね、秘密鍵の保管場所やパスワード管理方法について情報を得る。

取引所・ウォレットが見つかったら

取引所アカウントが判明した場合は、まずその取引所に“被相続人が死亡した旨”を連絡し、相続手続きに必要な案内(残高証明の請求方法や必要書類)を受け取ります。大手取引所は相続用の手続きページや相続届フォームを提供していることが多く、明示された必要書類を揃えて申請を行うことになります。[3][7]

3. 取引所での手続きの流れ(一般的なステップ)

各取引所によって細かい手順や必要書類は異なりますが、一般的には以下のような流れです。[3][7][4]

  1. 取引所への死亡通知と相続申請の連絡。
  2. 取引所から相続人に対する必要書類の案内(残高証明、相続届、戸籍謄本、遺産分割協議書等)。
  3. 相続人代表が必要書類を取引所へ提出(郵送やオンライン提出)。
  4. 取引所が書類内容を確認し、残高の払い戻しまたはアカウント移管(取引所によっては日本円での払戻しを行う場合あり)。
  5. 相続人は得た現金や暗号資産を基に税務申告や遺産分割を行う。

取引所の取扱いは「暗号資産そのものを移管する」場合と「時価で日本円に換算して支払う」場合があり、業者によって対応が異なるため、各取引所の規約や相続ページを必ず参照してください。[4][3]

4. オフチェーン(自己管理)ウォレットや秘密鍵がある場合の対応

ハードウェアウォレット・ペーパーウォレット・秘密鍵で管理されている暗号資産は、物理的な秘密鍵やリカバリーフレーズへのアクセスが無いと回復が困難です。被相続人が秘密鍵の保管方法(紙・金庫・信託・鍵管理サービス等)を明示していない場合、相続人は以下の点を検討します。[5]

  • 遺言書や信頼できるメモを探し、リカバリーフレーズや保管場所の手がかりがないか確認する。
  • 故人のパソコンやモバイルにウォレットソフトのデータが残っていないかを調べる(ただしログイン試行でロックやデバイス保護が働く場合は慎重に行う)。
  • 専門業者やデジタル遺産サービスに相談する(法的・技術的な観点でのアプローチが可能)。
  • 暗号資産をアクセス不能にしないため、事前に資産保有者自身が家族にアクセス方法を残しておくことが最も安全で有効である。

5. 必要書類と公的手続き(取引所向け)

取引所へ相続手続きを申請する際に一般的に求められる書類類は以下の通りです。詳細は各取引所の指定に従ってください。[3][7][4]

  • 被相続人の死亡を証明する書類(死亡診断書または死亡届に係る写し等)。
  • 相続人全員の戸籍謄本・法定相続情報一覧図(取引所によっては提出が必要)。
  • 相続人の本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカード等)。
  • 遺産分割協議書(相続人全員の合意に基づき署名・押印したもの)。
  • 相続届や取引所所定の委任状など(各社のフォーマットに従う)。

6. 相続税の計算と申告のポイント

相続税申告にあたっては、暗号資産の評価が重要です。評価方法は基本的に相続開始日時点の時価(取引所の公表価格や市場価格を基準)で算定します。評価額を相続財産の総額に加えた上で、法定相続控除や基礎控除を適用したうえで課税遺産総額を算出し、相続税を計算します。[9]

注意点

  • 暗号資産は価格変動が大きいため、相続開始日時点の時価を明確に記録・保存しておくことが重要です。[9]
  • 相続税率は遺産総額に応じて累進課税となり、場合によっては高税率が適用されるため、必要であれば税理士等専門家に相談してください。[6]
  • 取引所から発行される残高証明書は、税務申告の際に有用な証拠資料となります。[3]

7. 遺産分割の実務—暗号資産をどう分けるか

暗号資産は「分割が難しい」特性があります(例:トークンの最小単位やアカウントの仕様に依存)。遺産分割では以下のような選択肢が考えられます。

  • 暗号資産を一人が承継し、他の相続人に現金(相続代償金)で清算する(価額を時価で算出して支払う)。
  • 複数の暗号資産を保有している場合、通貨ごとに分配する(可能な分割がある場合)。
  • 共同管理の合意を作り、代表者に管理を任せるが、定期的な報告や取り扱いルールを定める。
  • 売却して日本円化し、分割する(税務上の取扱いと時期については注意)。

遺産分割協議書に明確に取り決めを残すこと、トラブルを避けるために相続人全員の合意を文書化しておくことが重要です。[1]

8. 秘密鍵・パスワード管理の不備がある場合の法的・技術的対応

秘密鍵やパスワードが失われていると、実際に暗号資産にアクセスできないケースがあります。こうした場合にも相続税評価上は「被相続人が所有していた財産」として扱われる可能性があるため、専門家への相談が必要です。[4][5]

可能な対応策

  • 技術的復旧のために専門のデジタル復旧業者に相談する(ただし成功は保証されず、費用がかかる)。
  • 法的に所有関係や相続権を明確にしておくことで、取引所側に対して残高証明等の発行を求める証拠を整える。
  • 事前対策として、信頼できる弁護士・公証人等を活用し「秘密鍵の保管方法」を遺言や信託で定める。

9. 生前の対策(被相続人向け・推奨される取り組み)

暗号資産を保有している方が行うべき生前の対策は、相続後の混乱や資産の“行方不明”を防ぐために非常に重要です。主な対策を列挙します。

  • 資産の全体像を一覧にする:保有通貨、取引所名、ウォレットの種類、保管場所、アクセス手段を一覧にまとめる(ただし一覧自体の保管は慎重に)。
  • 秘密鍵・リカバリーフレーズの保管方法を定める:金庫保管、信託や専門の保管サービスの利用、公証人による保管など、安全でかつ相続時に取り出せる方法を選ぶ。[5]
  • 遺言・信託の活用:暗号資産の扱いを遺言や信託契約で明文化し、相続時の混乱を軽減する。必要に応じて専門家に依頼する。
  • 相続人への最低限の情報提供:アクセス情報を直接渡すのではなく、信頼できる第三者(弁護士や公証人)を介して安全に伝える方法が推奨される。
  • 定期的な確認:保有状況や保管方法を定期的に見直し、変化があれば相続対策も更新する。

10. 取引所別の実務上の差異(代表例)

主要な国内取引所(または大手業者)では相続専用の手続きページや窓口を設けている場合が多く、必要書類や提出方法に個別差があります。例えば、ある取引所は相続届フォームのダウンロードと郵送による申請を採用している一方、別の取引所はオンラインで申請を受け付けるなどの違いがあります。[3][7]

そのため、被相続人が利用していたと思われる取引所の公式ページで「相続」「遺族対応」「残高証明」等のキーワードを検索し、指定された手続きを踏むことが近道です。[3][7]

11. 税務申告に際しての書類整理と保存

相続税・所得税・譲渡税等に関係する可能性があるため、以下の書類は可能な限り保存しておくことが推奨されます。

  • 取引所から受領した残高証明書や取引履歴の写し。[3]
  • 相続関係を示す戸籍謄本・遺産分割協議書・相続税申告書の控え。
  • 相続開始日時点の市場価格を示す資料(取引所の価格画面のスクリーンショットや公表データ)。
  • 秘密鍵やウォレット保管に関するメモや保管場所の証拠(保管契約の写し等)。

12. 相続後の管理とセキュリティ上の注意点

相続した暗号資産を管理する際には、以下の点に留意してください。

  • 相続完了前に不用意にアカウントへアクセスを試みると、ログインロックや二段階認証の解除不可などで取引に支障が出る可能性があるため、取引所の指示に従うこと。[7]
  • 相続した暗号資産を移管・売却する際は、マネーロンダリング対策や各種法令順守に留意すること。
  • 高額資産はホットウォレットに放置せず、セキュアな保管方法に移すことを検討する(ただし移動には税務上・契約上の影響があり得るため記録を残す)。

13. よくある質問(FAQ)

Q:取引所アカウントが凍結されたらどうすればよいですか?

A:取引所は被相続人の死亡情報を受けるとアカウントに一時的な措置(ロック)をかけることがあります。取引所の指示に従い、必要書類を提出して正式な相続手続きを進めることで解除や払い戻しの案内を受けられます。[2][3]

Q:秘密鍵が見つからない場合、相続税はどうなる?

A:秘密鍵が見つからず暗号資産にアクセスできなくても、被相続人が所有していた記録がある場合は相続税の評価対象となる可能性があります。税務上の取り扱いや評価については税理士に相談して具体的な対応を検討してください。[4][9]

Q:暗号資産は遺産分割でどのように評価するのが良いですか?

A:一般に相続開始日時点の時価で評価し、それに基づいて遺産分割協議書を作成します。分割が難しい場合は一人が承継し、他者に代償金を支払う方法が現実的です。[1]

14. 実務上のチェックリスト(相続人向け)

  • 被相続人のパソコン・スマホ・書類を速やかに調査する。
  • 判明した取引所へ死亡通知を行う(各社の相続窓口を利用)。
  • 取引所からの残高証明や必要書類の案内を受け、指示通りに申請する。[3]
  • 相続評価のために相続開始日時点の価格資料を保存する。[9]
  • 遺産分割協議書を作成し、相続人全員の合意を得て署名・押印する。
  • 相続税申告の要否を確認し、必要なら税理士に依頼する。
  • 秘密鍵やウォレットの保管状況に不安がある場合は専門家に相談する。

15. 先進的な対策:信託や公証を活用する方法

生前に暗号資産を安全に次世代へ引き継ぐため、信託や公証を活用する方法が注目されています。信託を用いることで、専門の受託者が資産の管理・移転を行えるようにし、遺言の場合よりも速やかに承継処理が進められることがあります。また、公証を使って秘密情報の保管ルールや開示条件を明確にしておくことで相続時の混乱を軽減できます。[5]

16. ケーススタディ(実務でよくある例)

ケース1:取引所アカウントが判明し、相続人が手続きを行った例

被相続人の利用していた取引所に連絡を入れ、相続届と戸籍謄本・遺産分割協議書を提出、取引所から残高証明が発行され、相続人の金融口座へ払戻しが行われた。相続税は相続開始日時点の評価額を基に計算して申告した(必要に応じ税理士を依頼)。[3]

ケース2:秘密鍵が不明で、復旧を試みた例

被相続人がハードウェアウォレットを所有していたが、リカバリーフレーズが不明だった。相続人はメモや家中の保管場所を調べ、専門のデジタル復旧業者に相談したが回復できなかったため、税務上の評価と法的整理を行った。可能ならば今後同様の事態を防ぐため、家族にアクセス情報の保全方法を説明することが推奨された。[5]

17. 専門家への相談が推奨される場面

  • 被相続人が多数の取引所や複雑なウォレットを利用しており、資産の全貌が把握しにくい場合。
  • 秘密鍵が不明、またはアクセス困難で技術的復旧が必要な場合。
  • 相続税の計算や申告が複雑で、税務上の判断が必要な場合。
  • 遺産分割で意見が対立し、法的手続きが予想される場合。

18. 実務上の最新の動向(参考情報)

国内外で暗号資産の普及が進むにつれ、取引所各社は相続手続きの整備を進めています。また、法制度や税務上の取り扱いも整備・運用の蓄積が進んでおり、相続手続きが以前より手続き化されてきています。具体的には取引所が残高証明発行や相続フォームを提供するケースが増え、相続手続きの透明性・簡素化が進んでいます。[3][4]

19. 実務上の注意:プライバシーと情報管理

暗号資産の相続手続きの過程では、戸籍や個人情報、金融情報などの機密書類を取扱います。郵送やオンライン提出の際は取引所の指示に従い、個人情報を安全に管理してください。第三者に不用意に秘密情報を明かすことは避け、必要ならば専門家(弁護士・税理士)を通じて手続きを進めることが望ましいです。

20. 最後に:実務的なチェックポイント(相続人・被相続人向け)

  • 被相続人のデジタル資産の所在を早めに特定すること。
  • 取引所ごとの相続手続きに従い、必要書類を迅速に準備すること。[3]
  • 相続税評価用に相続開始日時点の価格資料を保持すること。[9]
  • 秘密鍵・リカバリーフレーズの管理不備は重大な問題になるため、被相続人は生前に安全な引継ぎ方法を整えておくこと。[5]
  • 複雑なケースは早めに専門家へ相談し、法務・税務上のリスクを低減すること。

まとめ

暗号資産は相続財産として従来の金融資産と同様に扱われ、相続開始時点の時価で評価されるため、まずは被相続人の保有先(取引所やウォレット)を早急に特定することが重要です。取引所は相続手続きのための残高証明や相続届を提供していることが多く、指定された必要書類を揃えて申請することで相続処理が進みます。秘密鍵やパスワードの喪失は実務上の大きな障壁となるため、被相続人は生前に安全な保管・引継ぎ方法を検討しておくこと、相続人は必要書類の整理や税務相談を行うことが、スムーズな承継につながります。

暗号資産相続の実務ガイド:取引所手続き・秘密鍵対応・相続税のポイントをまとめました

暗号資産の相続は、資産の所在確認、取引所への連絡、必要書類の提出、相続税評価・申告という流れで進みます。被相続人の保有状況や秘密鍵の有無により手続きの難易度は変わるため、早めの情報収集と専門家への相談を推奨します。

※診断結果は娯楽を目的としたもので、医学・科学的な根拠はありません。
ご自身の判断でお楽しみください。

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