はじめに
ビットコインへの投資方法は多様化しており、特にETF(上場投資信託)は世界的に注目を集めています。米国ではビットコイン現物ETFが承認され、大規模な資金流入が続いています。一方、日本国内ではまだビットコインETFが承認されていないため、楽天証券を含む多くの証券会社では直接的なビットコインETFの取り扱いがありません。しかし、楽天グループは暗号資産関連の投資商品やサービスを提供しており、ビットコインへの投資機会は存在します。本記事では、楽天証券でのビットコイン投資の現状と、今後の可能性について詳しく解説します。
ビットコインETFとは何か
ETFの基本的な仕組み
ETFは上場投資信託の略称で、個別株式と同様に証券会社を通じて購入できる金融商品です。リアルタイムで価格が変動し、透明性の高い取引が可能という特徴があります。ETFは複数の資産に投資することで、分散投資の効果を得られる仕組みになっています。
ビットコインETFの特徴
ビットコインETFは、ビットコインの価格に連動するように設計されたETFです。主に現物型と先物型の2種類があります。現物型ビットコインETFは、運用会社が実際にビットコインを保有し、その価格に連動するように運用されます。投資家は、ETFを通じて間接的にビットコインを保有することになります。
ビットコインETFの最大の利点は、投資家が暗号資産取引所に口座を開設する必要がなく、普段使い慣れた証券口座からビットコインの値動きに投資できることです。これにより、ハッキングでビットコインを盗まれるリスクも軽減されます。
米国でのビットコインETF承認と市場への影響
米国SECの承認と資金流入
2024年1月、米国証券取引委員会(SEC)がビットコインの現物ETFを承認したことは、暗号資産市場における大きなターニングポイントとなりました。この承認により、機関投資家や一般投資家がより簡単にビットコインに投資できるようになりました。
その後、ビットコインETFへの資金流入は急速に増加しています。2025年4月には、ビットコインETFの純資産総額が過去最大級の1000億ドルの大台に突入しました。さらに2025年5月には、アブダビ政府系ファンドがビットコインETFを購入するなど、世界的な機関投資家からの関心が高まっています。
ETFがもたらした市場の変化
ビットコインETFの承認により、ビットコイン市場には大きな変化がもたらされました。ETFを通じた投資では、信託銀行でビットコインが安全に保管され、ETF自体が証券市場でいつでも売却できるようになったため、多くの資金が流入しました。これにより、ビットコイン市場の流動性が大幅に向上し、より安定した価格形成が可能になっています。
日本国内でのビットコインETFの現状
楽天証券でのビットコインETF取り扱い状況
残念ながら、2025年12月現在、楽天証券ではビットコインETFを購入することはできません。日本国内ではまだビットコインETFが承認されていないため、どの証券会社でも直接的なビットコインETFの取り扱いがない状況が続いています。
楽天証券は、現時点でビットコインETFの取り扱い予定を公表していません。しかし、ブロックチェーン関連の投資信託(インベスコ 世界ブロックチェーン株式ファンドなど)を取り扱っており、暗号資産関連への投資機会を提供しています。
SBIホールディングスの動き
日本国内でのビットコインETF上場に向けた動きも始まっています。SBIホールディングスは、暗号資産を組み込んだETFの開発を進めており、国内での上場を視野に入れていると2025年8月に報道されました。金融庁が暗号資産を金融商品として扱う法制度の検討に乗り出したことを受け、制度が整い次第、具体的な商品化に踏み切る構えとなっています。
このような動きは、日本国内でもビットコインETFが承認される可能性が高まっていることを示唆しています。今後、楽天証券を含む国内の証券会社でもビットコインETFが取り扱われる日が来るかもしれません。
楽天グループでのビットコイン関連サービス
楽天ウォレットでの暗号資産取引
楽天証券ではビットコインETFを取り扱っていませんが、楽天グループの子会社である楽天ウォレットでは、暗号資産(仮想通貨)の取引サービスを提供しています。楽天ウォレットは、暗号資産交換業者として金融庁に登録されており、安全で信頼性の高い取引環境を提供しています。
楽天ウォレットを利用することで、楽天グループのサービスを活用しながらビットコインを購入・保有することが可能です。楽天ユーザーにとっては、既存の楽天アカウントを活用できるため、新たに別のプラットフォームで口座を開設する手間が省けます。
楽天証券での暗号資産関連投資信託
楽天証券では、直接的なビットコインETFは取り扱っていませんが、暗号資産関連の投資信託を提供しています。これらの投資信託は、ブロックチェーン技術を活用する企業の株式に投資するもので、間接的に暗号資産市場の成長に投資することができます。
暗号資産関連株式ファンドなどの投資信託は、NISA成長投資枠での購入が可能であり、税制上の優遇措置を受けながら投資できます。これは、ビットコインETFが日本で承認されるまでの間、楽天証券を利用する投資家にとって有効な選択肢となります。
楽天でのビットコイン積立投資
Coincheckつみたてサービス
楽天グループの関連サービスとして、Coincheckが提供する「Coincheckつみたて」という積立投資サービスがあります。このサービスは、毎日または毎月定額でビットコインを自動購入することが可能です。一度設定すれば、あとは自動で積み立てられるため、投資のタイミングを気にする必要がありません。
積立投資は、長期的な資産形成に適した投資方法です。ビットコインのような変動性の高い資産に対して、定期的に一定額を投資することで、平均購入単価を抑える効果が期待できます。これは、ドルコスト平均法と呼ばれる投資手法で、初心者にも適した方法です。
積立投資のメリット
Coincheckつみたてを利用することで、複数のメリットが得られます。まず、自動的に投資が行われるため、投資判断の手間が省けます。次に、定期的に一定額を投資することで、価格変動のリスクを軽減できます。さらに、長期的な資産形成に適しており、複利効果を期待できます。
ただし、販売所形式での取引ではスプレッド(売値と買値の差)が発生するため、頻繁に売買する場合はコストが高くなる点には注意が必要です。しかし、長期的な積立投資の場合、このコストの影響は相対的に小さくなります。
ビットコインETFのメリットとデメリット
ビットコインETFのメリット
ビットコインETFが日本で承認された場合、複数のメリットが期待できます。まず、証券口座で取引可能であり、新しく暗号資産ウォレットを作ったり、暗号資産取引所のアカウントを開設する必要がありません。これにより、ハッキングでビットコインを盗まれるリスクも軽減されます。
次に、税制上の大きなメリットがあります。日本では暗号資産を保有する場合、税制上の雑所得として扱われ、売却益に対して最大55%の税率が課される場合があります。一方、ビットコインETFを通じて投資する場合は、金融商品の譲渡益として扱われ、申告分離課税(20%程度)が適用されるため、大きな税制上の優遇措置が得られます。
さらに、ETFは証券市場で取引されるため、流動性が高く、いつでも売却できるという利点があります。また、少額から投資を始められることも、多くの投資家にとって魅力的です。
ビットコインETFのデメリット
一方、ビットコインETFにはいくつかのデメリットも存在します。まず、ETFを通じた投資では、実際にビットコインを保有しないため、ビットコインの送受信や使用はできません。あくまで価格変動による利益を目的とした投資となります。
次に、ETFの運用費用(信託報酬)が発生します。これは年間の投資額に対して一定の割合で差し引かれるため、長期投資の場合、累積的なコスト負担となります。
また、ビットコインは価格変動が大きい資産であり、ETFを通じた投資でも同様のボラティリティを経験することになります。短期的な価格変動による損失のリスクは存在します。
楽天証券での代替投資方法
暗号資産関連株への投資
楽天証券でビットコインETFが取り扱われるまでの間、暗号資産関連株に投資することで、間接的にビットコイン市場に投資することができます。ビットコイン採掘企業やブロックチェーン関連企業の株式は、ビットコイン市場の成長に連動する傾向があります。
楽天証券では、米国上場の暗号資産関連企業の株式やETFを取り扱っており、これらを通じてビットコイン市場への投資が可能です。2025年5月には、米国に上場する海外ETFの取扱いを拡大しており、より多くの選択肢が提供されています。
ブロックチェーン関連投資信託
楽天証券が取り扱うインベスコ 世界ブロックチェーン株式ファンドなどの投資信託は、ブロックチェーン技術を活用する企業に投資するものです。これらのファンドは、暗号資産市場全体の成長に投資する方法として有効です。
投資信託の利点は、プロのファンドマネージャーが銘柄選定と運用を行うため、個人投資家が自分で銘柄を選ぶ手間が省けることです。また、複数の企業に分散投資されるため、個別企業のリスクを軽減できます。
今後の展望と可能性
日本でのビットコインETF承認の可能性
金融庁が暗号資産を金融商品として扱う法制度の検討に乗り出したことは、日本国内でのビットコインETF承認に向けた重要なステップです。制度が整い次第、具体的な商品化に踏み切る構えが示されており、今後数年以内にビットコインETFが日本で承認される可能性は高いと考えられます。
SBIホールディングスの動きは、業界全体の期待を示しており、他の大手証券会社も同様の商品開発を進めている可能性があります。楽天証券も、今後ビットコインETFを取り扱う可能性は十分にあります。
楽天グループの暗号資産事業の拡大
楽天グループは、楽天ウォレットを通じて暗号資産事業を展開しており、今後さらなる拡大が期待されます。楽天証券とのサービス連携により、より利便性の高い投資環境が整備される可能性があります。
楽天グループの強みは、金融サービス、電子商取引、ポイントサービスなど、複数の事業を統合できることです。これらのシナジーを活用することで、ユーザーにとってより価値の高い暗号資産関連サービスが提供される可能性があります。
ビットコイン投資を始める際の注意点
リスク管理の重要性
ビットコインは価格変動が大きい資産であり、投資には相応のリスクが伴います。投資を始める際には、自分の資産状況やリスク許容度を十分に検討することが重要です。余裕資金の範囲内での投資を心がけ、全資産をビットコイン関連商品に投資することは避けるべきです。
長期的な資産形成を目指す場合、積立投資などの定期的な投資方法が有効です。これにより、短期的な価格変動の影響を軽減し、平均購入単価を抑えることができます。
情報収集と学習
ビットコインや暗号資産市場は、急速に変化する分野です。投資を始める前に、十分な情報収集と学習が必要です。楽天証券や楽天ウォレットなどのプラットフォームでは、教育コンテンツやマーケット情報が提供されており、これらを活用することで知識を深めることができます。
また、信頼できる情報源から最新の市場動向や規制動向を把握することも重要です。暗号資産市場は規制環境が変化しやすいため、常に最新の情報を確認することが必要です。
楽天証券での投資環境の整備
NISA制度の活用
楽天証券では、NISA(少額投資非課税制度)を活用した投資が可能です。暗号資産関連の投資信託の中には、NISA成長投資枠での購入が可能なものがあります。NISAを活用することで、投資利益に対する税金を軽減できるため、より効率的な資産形成が可能になります。
新NISAは、年間投資枠が拡大され、より多くの投資が非課税で行える制度となっています。楽天証券でのNISA対応商品の充実により、投資家にとってより有利な投資環境が整備されています。
楽天ポイントの活用
楽天証券では、楽天ポイントを使用して投資信託を購入することができます。楽天グループの各種サービスで獲得したポイントを、投資に充当することで、より効率的に資産形成を進めることができます。
このようなポイント制度の活用により、投資の初期段階での資金負担を軽減できるため、投資を始めやすくなります。特に、少額から投資を始めたい初心者にとって、有効な仕組みとなっています。
まとめ
2025年12月現在、楽天証券ではビットコインETFを直接購入することはできません。しかし、日本国内でのビットコインETF承認に向けた動きが進んでおり、今後楽天証券でも取り扱われる可能性は高いと考えられます。それまでの間、楽天グループの楽天ウォレットでの暗号資産取引、Coincheckつみたてでの積立投資、暗号資産関連投資信託への投資など、複数の方法でビットコイン関連への投資が可能です。楽天証券のNISA制度やポイント制度を活用することで、より効率的な資産形成が実現できます。ビットコイン投資を検討する際には、自分のリスク許容度や投資目標に合わせて、最適な投資方法を選択することが重要です。
楽天でビットコインETFは買える?現状と代替投資、承認の見通しをわかりやすく解説をまとめました
ビットコインETFは、世界的に注目を集めている投資商品であり、米国では既に大規模な資金流入が続いています。日本国内でも、金融庁による法制度の検討が進められており、近い将来ビットコインETFが承認される可能性が高まっています。楽天証券を含む国内の証券会社でも、ビットコインETFの取り扱いが開始される日が来るでしょう。それまでの間、楽天グループの多様なサービスを活用することで、ビットコイン関連への投資機会は十分に存在します。ビットコイン市場の成長に参加したいと考える投資家にとって、楽天グループは有力な選択肢となり得るのです。



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