ビットコイン貸し出しとは
ビットコイン貸し出しは、保有しているビットコインを取引所やレンディングサービス会社に一定期間貸し出し、その対価として利息を得るサービスです。このサービスの最大の特徴は、ビットコインを売却することなく、保有したまま資産から収益を生み出せるという点にあります。
従来、ビットコイン保有者が資金を必要とする場合、保有するコインを売却するか、レバレッジを活用するかという選択肢しかありませんでした。しかし、ビットコイン貸し出しを利用することで、将来の価格上昇の可能性を維持しながら、現在の資産から流動性を引き出すことが可能になります。これは特に中長期的な投資戦略を考えている投資家にとって、非常に相性の良い運用方法といえるでしょう。
ビットコインの価格が大幅に上昇している現在、多くの投資家がこの貸し出しサービスに注目しています。2025年には、コインを売却せずに流動性を確保するための人気の戦略として、ビットコイン貸し出しがますます活用されるようになってきています。
ビットコイン貸し出しの仕組み
基本的な流れ
ビットコイン貸し出しの仕組みは、シンプルな三つのステップで構成されています。
まず、保有者がビットコインをレンディングプラットフォームに預けます。次に、プラットフォームはその資産を借り手(個人、機関投資家、他のプラットフォームなど)に貸し出します。借り手は通常、担保を差し入れることが求められます。最後に、貸出期間の終了時に、保有者は元本のビットコインに加えて、利用料(貸借料)を受け取ります。
この仕組みは、従来の銀行における預金と利息の関係に似ていますが、暗号資産という新しい資産クラスに適用されたものです。実際、このモデルを採用する企業は「暗号資産版銀行」に例えられることもあります。
利用料の計算方法
ビットコイン貸し出しで得られる利用料は、貸出数量、年率、貸出期間によって計算されます。一般的な計算式は以下の通りです:
利用料(税込)= 貸出数量 × 年率(利用料率) × 期間 ÷ 365日
例えば、1ビットコインを年率1.3%で1ヶ月間貸し出した場合、受け取る利用料は約0.00108ビットコイン(1 × 1.3% × 30 ÷ 365)となります。この計算は日数ベースで行われるため、貸出期間が長いほど、また年率が高いほど、より多くの利用料を得ることができます。
主要なレンディングサービスと金利
SBI VCトレード
SBI VCトレードが提供する「貸コイン」は、日本国内で利用できる主要なレンディングサービスの一つです。このサービスの特徴は、34銘柄もの暗号資産に対応していることです。ビットコインの年率は0.1%から3%の範囲で設定されており、貸出期間は7日間以上から選択できます。
SBI VCトレードの貸コインは、少額からでも利用できるという利点があります。まとまった量のビットコインを保有していなくても、最低貸出数量を満たしていれば、誰でもサービスを利用することが可能です。また、手数料がかからないという点も、投資家にとって大きなメリットとなります。
貸出期間は複数のコースから選択でき、各コースごとに異なる年率が設定されています。途中解約はできないため、貸出期間を慎重に選択することが重要です。
GMOコイン
GMOコインの「貸暗号資産ベーシック」は、ビットコインの貸出期間1ヶ月コースで年率1.3%を提供しています。このサービスは定期的に募集が行われ、募集開始時に申し込むことで利用できます。
GMOコインのサービスは、会員ページ内の貸暗号資産メニューまたはアプリの「トレーダーモード」から簡単に申し込むことができます。募集は先着順で行われるため、利用を希望する場合は早めの申し込みが推奨されます。
その他のサービス
日本国内には、複数のレンディングサービスが存在します。BITPOINTの「貸して増やす」では、30銘柄のビットコインを含む暗号資産に対応しており、金利は募集時に決定されます。bitbankは1年間の貸出期間で対応しており、2018年4月からサービスを開始している老舗のプラットフォームです。
各サービスは異なる貸出期間、金利、対応銘柄を提供しているため、投資家は自身のニーズに合わせて最適なサービスを選択することができます。
ビットコイン貸し出しのメリット
売却せずに流動性を確保
ビットコイン貸し出しの最大のメリットは、保有するビットコインを売却することなく、資金を得られるという点です。ビットコインの価格が上昇している局面では、保有者は将来のさらなる価格上昇を期待しながら、現在の資産から利益を生み出すことができます。
この特性により、投資家は長期的な保有戦略を維持しながら、短期的な資金ニーズに対応することが可能になります。例えば、ビットコインを担保に借り入れを行い、その資金を他の投資機会に活用することも考えられます。
中長期投資との相性の良さ
ビットコイン貸し出しは、中長期的な投資戦略を採用している投資家にとって特に有効です。仮想通貨投資はボラティリティが大きく、現物での取引にはリスクが伴いますが、貸し出すだけで着実に資産を増やせるという点で、リスク管理と収益性のバランスが取れた運用方法といえます。
保有するビットコインを動かさずに、定期的に利息を受け取ることで、投資家は心理的な負担を軽減しながら、資産を増やしていくことができます。
複数の銘柄への対応
多くのレンディングサービスは、ビットコイン以外にもイーサリアムやその他のトークンなど、複数の暗号資産に対応しています。これにより、投資家はポートフォリオ全体を効率的に運用することが可能になります。
ビットコイン貸し出しのリスクと注意点
プラットフォームのリスク
ビットコイン貸し出しを利用する際の最大のリスクは、レンディングプラットフォームの経営状況です。過去には、Celsius、BlockFi、Genesisなど、大手のレンディング企業が経営危機に陥った事例があります。プラットフォームが倒産した場合、預けたビットコインが返還されない可能性があります。
投資家は、利用するプラットフォームの信頼性、運営会社の財務状況、セキュリティ対策などを慎重に評価する必要があります。特に、新興のプラットフォームを利用する場合は、より高いレベルの注意が必要です。
貸倒リスク
法律上の貸倒が発生する可能性があります。これは、貸し出し先の企業が倒産した場合や、債務超過の状態が相当期間続き、弁済を受けることができないと認められた場合に発生します。このような状況では、債務免除が決定され、貸し出したビットコインが返還されない可能性があります。
ローン条件の理解
ビットコイン貸し出しを利用する前に、ローンの条件、金利、貸出プラットフォームの安全性について、十分に理解することが重要です。各プラットフォームは異なる条件を提供しているため、複数のサービスを比較検討することが推奨されます。
特に、途中解約が可能かどうか、自動再投資の有無、募集期間などの詳細な条件を確認することが必要です。
ビットコイン貸し出しの税務上の考慮
ビットコイン貸し出しで得た利息は、税務上の所得として扱われます。日本国内では、このような利息は雑所得として分類され、確定申告の対象となる可能性があります。
投資家は、貸し出しで得た利息の額を正確に記録し、必要に応じて税務申告を行う必要があります。税務上の取り扱いについては、税理士や会計士に相談することが推奨されます。
ビットコイン貸し出しとステーキングの違い
ビットコイン貸し出しと似たサービスに「ステーキング」があります。ステーキングは、ビットコインではなく、Proof of Stake(PoS)方式のネットワークに対応した暗号資産を保有することで、利益を得る仕組みです。
ビットコイン貸し出しは、保有するビットコインを取引所に貸し出すことで利息を得るのに対し、ステーキングはネットワークの検証に参加することで報酬を得ます。ビットコインはProof of Work(PoW)方式を採用しているため、ステーキングには対応していません。
ビットコイン貸し出しの実践的なポイント
プラットフォーム選択の基準
ビットコイン貸し出しを始める際には、複数のプラットフォームを比較検討することが重要です。比較する際には、以下のポイントを確認しましょう:
まず、提供される年率です。異なるプラットフォームは異なる金利を提供しているため、より高い利率を提供するサービスを選択することで、より多くの利息を得ることができます。次に、貸出期間の柔軟性です。7日間から365日間まで、様々な期間を選択できるプラットフォームは、投資家のニーズに対応しやすくなります。
また、途中解約が可能かどうかも重要な検討項目です。多くのプラットフォームでは途中解約ができませんが、一部のサービスでは柔軟な対応が可能な場合もあります。さらに、自動再投資機能の有無も確認しましょう。この機能があれば、複利効果を活用して資産をより効率的に増やすことができます。
最後に、運営会社の信頼性とセキュリティ対策を確認することが不可欠です。大手の取引所や、長年の実績を持つプラットフォームを選択することで、リスクを低減することができます。
貸出期間の選択
ビットコイン貸し出しの貸出期間は、投資家の資金ニーズと収益性のバランスを考慮して選択する必要があります。一般的に、貸出期間が長いほど年率が高く設定される傾向があります。
短期間(7日間から30日間)の貸出を選択すれば、より頻繁に資金にアクセスできる柔軟性が得られます。一方、長期間(90日間から365日間)の貸出を選択すれば、より高い利率を享受できる可能性があります。
投資家は、自身の資金計画と市場見通しを考慮して、最適な貸出期間を選択することが重要です。
リスク管理
ビットコイン貸し出しを利用する際には、適切なリスク管理が必要です。全資産をビットコイン貸し出しに投じるのではなく、ポートフォリオの一部に留めることが推奨されます。
また、複数のプラットフォームに分散して貸し出すことで、単一のプラットフォームのリスクを軽減することができます。さらに、定期的にプラットフォームの経営状況やセキュリティ情報を確認し、問題が生じた場合には迅速に対応することが重要です。
ビットコイン貸し出しの今後の展望
2025年には、ビットコインETFの承認と価格上昇を経て、多くの上場企業やファンドが暗号資産の利回り商品を組み入れ始めています。これにより、ビットコイン貸し出しサービスの需要はさらに増加することが予想されます。
同時に、規制環境の整備が進むことで、より安全で透明性の高いレンディングプラットフォームが増加することも期待されます。投資家にとって、より信頼性の高いサービスを利用できる環境が整備されることは、ビットコイン貸し出しの普及を促進するでしょう。
ただし、プラットフォームの経営リスクは引き続き存在するため、投資家は常に慎重な姿勢を保つ必要があります。
ビットコイン貸し出しで資産を活かす際の実践的なステップ
ステップ1:情報収集と比較
ビットコイン貸し出しを始める前に、複数のプラットフォームについて詳しく調べることが重要です。各サービスの年率、貸出期間、手数料、運営会社の信頼性などを比較検討しましょう。
ステップ2:口座開設
選択したプラットフォームで口座を開設します。多くのサービスでは、本人確認などの手続きが必要となります。
ステップ3:ビットコインの入金
口座開設後、保有するビットコインをプラットフォームに入金します。入金方法や手数料については、各プラットフォームの指示に従いましょう。
ステップ4:貸出条件の選択
貸出期間と金利を選択し、貸し出すビットコインの数量を決定します。自身の資金計画に合わせて、慎重に選択することが重要です。
ステップ5:定期的な確認
貸し出し後も、定期的にプラットフォームの状況を確認し、利息の受け取り状況を把握することが重要です。
まとめ
ビットコイン貸し出しは、保有するビットコインを売却することなく、資産から収益を生み出す有効な方法です。中長期的な投資戦略を採用している投資家にとって、特に相性の良いサービスといえます。SBI VCトレード、GMOコイン、BITPOINTなど、複数の信頼性の高いプラットフォームが利用可能であり、年率0.1%から3%程度の利息を得ることができます。
ただし、プラットフォームの経営リスクや貸倒リスクなど、注意すべき点も存在します。投資家は、ローン条件、金利、プラットフォームの安全性を慎重に評価し、適切なリスク管理を行うことが重要です。複数のプラットフォームを比較検討し、自身のニーズに合わせて最適なサービスを選択することで、ビットコイン貸し出しの利点を最大限に活かすことができます。
ビットコイン貸し出し完全ガイド(2025年版)—仕組み・利回り・税金・おすすめサービスを徹底解説をまとめました
ビットコイン貸し出しは、現代の暗号資産投資家にとって、資産を効率的に運用するための重要なツールとなっています。保有するビットコインを活かしながら、安定した収益を得たいと考える投資家にとって、このサービスは大きな価値を提供します。適切な知識と慎重な判断に基づいて、ビットコイン貸し出しを活用することで、投資ポートフォリオをより充実させることができるでしょう。



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