本記事では、日本国内で利用される主要な仮想通貨(暗号資産)取引所の手数料体系を分かりやすく整理し、各種手数料の違いと使い分けのポイントを解説します。複数の情報源を参照して最新の傾向をまとめており、販売所・取引所・入出金・送金それぞれのコストを比較しやすい形で紹介します。
この記事の目的と前提
仮想通貨取引所ごとに手数料の種類や表示方法が異なるため、「どの手数料が本当にコストになるか」を理解することが重要です。本記事では、以下の点を踏まえて比較・解説します。
- 販売所(業者から直接買う形式)と取引所(ユーザー同士で板取引をする形式)の違い
- 手数料の種類:取引手数料(Maker/Taker)、入金手数料、出金手数料、送金(ブロックチェーン)手数料、スプレッド
- 同一取引所内でも通貨や決済方法によって手数料が異なる点
- 手数料は頻繁に見直されるため、表記は各社の公表情報を基にしています
手数料の基本用語(簡潔に)
- 取引手数料(Maker/Taker):板取引で注文を出す側(Maker)は薄い手数料、成行で板の注文を取り消費する側(Taker)は通常手数料がかかることが多いです。取引所によってはMakerに報酬としてマイナス手数料を設定していることもあります(例:マイナス0.01%など)[2][4].
- 販売所のスプレッド:販売所では売値と買値の差(スプレッド)が実質コストになり、取引手数料が「無料」と表示されていてもスプレッドで実質負担が発生します[1][4].
- 入金手数料:銀行振込・クイック入金・コンビニ入金などの方法で発生するコスト。取引所や入金方法によって無料〜数百円〜数千円と差があります[5][8].
- 出金手数料:日本円を出金する際の手数料。金額帯で変わるケース(例:3万円未満/3万円以上)や無料の取引所があります[1][5].
- 送金手数料(ブロックチェーン手数料):取引所から外部ウォレットや別の取引所へ暗号資産を送る際のネットワーク手数料。各通貨で金額が異なります(BTCやETHで単位が異なる)[1][4].
主要取引所ごとの手数料の特徴(概要)
ここでは国内で広く利用されている代表的な取引所について、手数料の特徴をわかりやすく示します。各社ともに銘柄や取引形式で差があるため、一般的な傾向をまとめています。
Coincheck(コインチェック)
Coincheckは販売所での利便性が高く、スマホアプリの使いやすさが強みです。取引所形式の手数料は通貨により異なりますが、BTCの取引所手数料や販売所での売買に関する実質コスト(スプレッド)に注意する必要があります[1][9].
- 入金手数料:銀行振込は無料、クイック入金などは有料となる場合がある[1][5].
- 出金手数料:金額帯で変動する場合があり、他社と比べて一定の手数料が設定されていることがある[1][5].
- 送金手数料:通貨ごとに設定(例:BTCは0.0006 BTCなど)[1].
- 販売所は手数料表示が「無料」でもスプレッドに注意が必要(実質コスト)[1][4].
GMOコイン
GMOコインは取引所形式でMakerにマイナス手数料設定があることや、通貨によって取引手数料が低めに設定されている点が評価されています。また、入出金や送金の条件も競争力があります[4][6].
- 取引所手数料:通貨によってはMakerがマイナス(報酬)となることがある[4].
- 入金・出金:一部条件で無料となる場合がある(大口出金は別途手数料が発生)[5][4].
- 送金手数料:通貨ごとに異なるが、無料や低額にしているケースがある[4].
bitbank(ビットバンク)
bitbankはMakerがマイナス手数料(報酬)な点や、取引所形式のスプレッドが小さい傾向にある点が注目されます。流動性が高い通貨の板取引を主体にするユーザーに向いています[2][4].
- 取引所手数料:Maker -0.02%、Taker 0.12%(銘柄やキャンペーンで変動あり)[2][4].
- 入出金:出金手数料は他社と同様に設定されている場合があるため事前確認が必要[5].
- 販売所ではスプレッドが発生するため、板取引を推奨するケースが多い[2].
bitFlyer(ビットフライヤー)
bitFlyerは段階制の手数料体系を採用しており、月間取引量に応じて取引手数料が変動する点が特徴です。また、長期間ハッキングゼロの実績など信頼面をアピールする情報もあります[4][8].
- 取引所(現物)手数料:約定数量に応じた0.01%〜0.15%などの段階制となることがある[4][8].
- 入金手数料:入金方法により無料〜数百円が発生[4].
- 出金手数料:銀行振込等で発生し、金額はパターンにより異なる[4].
SBI VCトレード・DMM Bitcoin・BITPOINTなどの傾向
これらの取引所は入出金無料のサービスを打ち出すケースや、特定通貨の取引手数料を極めて低く設定している場合があります。利用目的(例:頻繁に売買する、長期保有目的で送金が主)に応じて選択すると良いでしょう[3][5].
手数料を比較する際のチェックリスト(実用)
以下のチェックリストを使えば、自分の取引スタイルに最も合った取引所を見つけやすくなります。
- 取引頻度:短期売買中心なら取引所のMaker/Taker手数料やスプレッドを重視する。[2][4]
- 入出金の回数と金額:頻繁に日本円で入出金するなら入出金手数料が安い取引所が有利。[5][8]
- 送金の有無と回数:外部ウォレットや他所へ頻繁に送金するなら送金手数料が低い通貨や取引所を確認する。[1][4]
- 取り扱い銘柄:目的の通貨が販売所のみか取引所(板取引)で扱われているかを確認する(販売所はスプレッドに注意)。[1][2]
- キャンペーンやVIP制度:キャンペーンで一時的に手数料が割引されることがあるため、利用時に確認する。[4][7]
実際の比較例(代表的な項目を並べて解説)
以下は代表的な手数料項目について、取引所ごとの比較でよく見られる違いを説明したものです。細かな金額は各社の最新情報を確認してください。
1) 取引手数料(取引所形式)
取引所形式では、Maker(指値で板を作る側)とTaker(板にある注文を消費する側)の二種類で手数料が異なるのが一般的です。Makerにマイナス手数料を与えて流動性を高める取引所もあります。[2][4]
- Makerがマイナス(報酬)になる例:bitbankのMaker -0.02%など。[2]
- Takerは通常プラス(コスト)で、一般に0.05%〜0.15%程度の幅が見られます(取引量や銘柄による)。[2][4]
- 板取引がない販売所では「取引手数料無料」を謳うことがありますが、スプレッドが実質手数料となる点に注意。[1][4]
2) 販売所のスプレッド(実質コスト)
販売所での売買は手数料が見えにくく、提示価格の差(スプレッド)が実質的なコストになります。スプレッドは時期や流動性によって変動するため、短期取引には不向きな場合があります。[1][4]
3) 入金手数料
銀行振込・クイック入金・コンビニ入金などで手数料が変わります。銀行振込が無料の取引所と有料の取引所があるため、普段利用する入金方法を基準に選ぶと良いでしょう。[5][8]
4) 出金手数料
出金は金額帯で手数料が変わる場合があります(例:3万円未満と3万円以上で料金が分かれる等)。頻繁に日本円を引き出す場合は出金手数料が重要です。[1][5]
5) 送金手数料(チェーン手数料)
暗号資産の送金手数料は各通貨のネットワーク状況に応じて変化します。取引所によっては内部送金を無料化している場合もあるため、外部へ頻繁に移動する計画がある場合には要チェックです。[1][4]
どの取引所を選べば良いか?(用途別の選び方)
以下は一般的な取引スタイル別の選び方の目安です。
- 頻繁に売買する(デイトレ風):取引所形式でMaker/Taker手数料が低く、板の流動性が高いところが有利(例:bitbankやGMOコイン等を検討)[2][4].
- 初めてで操作をシンプルにしたい:販売所が使いやすく、アプリの操作性が良い取引所(例:Coincheck)が向く。ただしスプレッドに注意する[1][9].
- 日本円の入出金が多い:入出金手数料が無料あるいは低額の取引所を選ぶ(SBIやGMOなど一部で優遇がある)[3][5].
- 資産移動(外部ウォレット)を頻繁に行う:送金手数料が低い、あるいは内部送金が無料の取引所を選ぶと総コストを下げられる[4][1].
手数料を下げるための実践的な工夫
手数料を抑えるための実用的なヒントを紹介します。どれも大きなリスクを伴うものではなく、使い方次第で実効コストを下げられます。
- 販売所ではなく可能な限り取引所(板取引)を使う:スプレッド分のコストを削減できることが多いです[1][2].
- 指値(Maker)注文を活用する:Maker手数料が低い、またはマイナス設定の取引所では報酬が得られる場合があります[2][4].
- 入金方法の選択:銀行振込や無料入金が可能な場合はそちらを使う。クイック入金やコンビニ入金は利便性が高い反面手数料が発生することがあるため注意する[5][8].
- 送金は必要最小限にする:外部への送金回数を減らすだけで、ネットワーク手数料を節約できます[1].
- キャンペーンや手数料還元制度を活用:期間限定で手数料が優遇されることがあるため、公式情報をチェックしましょう[4][7].
よくある質問(FAQ)
Q:取引手数料が「無料」とある取引所は本当にコストがかからないの?
A:販売所で「取引手数料無料」と表示されている場合でも、売値と買値の差(スプレッド)が実質的なコストになるため、短期間で頻繁に売買する場合は注意が必要です[1][4].
Q:Maker/Takerのどちらが安い?
A:一般にMaker(指値)を出す方が手数料が低いか、場合によってはマイナス手数料(報酬)が得られます。成行で取引するTakerは手数料がかかることが多いです[2][4].
Q:入金はどの方法が最も安い?
A:銀行振込が無料の取引所が多く、手数料を抑えたい場合は銀行振込(指定の振込先や条件を満たす必要あり)を使うのが一般的です。クイック入金やコンビニ入金は便利ですが手数料がかかることがあるため、使用頻度や利便性と天秤にかけて選びましょう[5][8].
参考にした情報の種類(出典の取り扱いについて)
本記事は複数の比較サイトや各取引所の公式情報を参照して、手数料の傾向や代表的な数値例を整理しています。取引所は手数料を定期的に見直すため、実際の取引にあたっては公式ページで最新の金額をご確認ください[1][2][4][5].
注意点(非推奨・避けるべき表現)
この記事は手数料比較を目的としており、特定銘柄の価格予想や投資助言を行うものではありません。取引や投資の判断はご自身の責任で行ってください。
各取引所のより詳細な比較(項目別)
以下は、上で述べたポイントを実際にチェックする際に見るべき項目を、より具体的に列挙したものです。各項目ごとに取引所間で差が出やすいため、口座開設前に確認してください。
- 取引所/販売所の区分:同じ取引所内でも「販売所」と「取引所(板)」でコスト構造が異なります[1][2].
- 通貨ごとの取引手数料:BTCやETH、XRPなど主要通貨で手数料体系が異なる場合が多いです[4][2].
- 入金方法ごとの手数料:銀行振込/クイック入金/コンビニ入金などを分けて確認します[5][8].
- 出金手数料の階層:出金金額により手数料が分かれている場合があります(例:3万円未満/3万円以上など)[1][5].
- 送金手数料(チェーン手数料):各通貨のネットワーク手数料は常に変動するため、送金前に必ず確認が必要です[1][4].
- アクティブユーザー特典・ランク制度:取引量に応じて手数料が優遇される制度がある場合があります[4][7].
- キャンペーン情報:新規口座開設や期間限定の手数料無料キャンペーンなどを活用すると一時的にコストを下げられます[4].
実務上のワンポイント(口座を複数持つメリット)
用途によって複数の取引所を使い分けることは有効です。例えば、日々の売買は手数料が安い取引所、入出金や法定通貨の保管は手数料が少ない別の取引所、特定銘柄のスワップや貸暗号資産サービスは専用の取引所といった形で分散できます[2][5][8].
まとめ時のチェックリスト(記事を読み返す際に)
- 自分の取引スタイル(頻度・入出金頻度・送金頻度)を明確にする
- 取引所の「販売所」と「取引所(板)」の違いを理解する
- 入金・出金・送金の各手数料を合算して「実際の利用コスト」を算出する
- 公式情報やキャンペーン情報は常に最新のものを確認する
付録:参考にした情報の種類(簡易)
本稿は複数の比較記事や取引所の公開情報を参照して作成しました。取引所は随時手数料を変更するため、実際に取引を行う際は各社の公式ページを確認してください。参考として用いた情報ソースの例として、取引所別の手数料比較記事や専門メディアの解説記事があります。
まとめ
仮想通貨取引所の手数料は「取引形式(販売所/取引所)」「Maker/Taker」「入出金方法」「送金(チェーン)手数料」など複数の要素で構成されており、利用者の目的や取引頻度によって最適な取引所は異なります。短期売買が中心なら取引所(板取引)のMaker/Taker手数料を重視し、入出金が多ければ入出金手数料の安さを優先する、といった具合に用途別に比較・使い分けると実効コストを下げられます。各社は手数料体系を見直すことがあるため、取引前には必ず公式情報を照会してください。
仮想通貨取引所の手数料を徹底比較:販売所・取引所・入出金・送金のコストと選び方をまとめました
(上で解説したポイントを踏まえ、ご自身の取引スタイルに合わせて複数の取引所を比較・併用することをおすすめします。各社の最新手数料は公式サイトで確認してください。)



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