本記事は、DMMビットコイン(以下「DMM」)が提供する「年間取引報告書」の内容と取得方法、確定申告や損益集計での活用方法、そして2025年のサービス終了・SBI VCトレードへの口座・資産移管に伴う注意点を、複数の情報源をもとに分かりやすくまとめた実用ガイドです。投資助言や価格予想は含めず、読者が実務で使える手順とポイントを中心に説明します。
1. 年間取引報告書とは何か(概要)
年間取引報告書は、暗号資産の取引所が1年間(通常は暦年)の売買や入出金などの取引履歴を集計して発行する公式の帳票で、確定申告や損益計算の基礎資料として用いられます。暗号資産交換業者は利用者ごとに取引履歴や年間損益の要点を示す報告書を発行することが一般的です(取引所ごとの表記や出力フォーマットは異なります)。
この報告書には、一般に以下のような情報が含まれます:
- 年間の買付合計金額や売却合計金額
- 年間の売却数量や購入数量
- 年度中の入出金(移入・移出)や手数料の一覧
- 損益計算に必要な個別取引の履歴(CSVやZIP形式で出力されることが多い)
取引所によっては「損益計算用データ」「CASHFLOW」「TRADE_RECORD_LIST」といったファイル名でダウンロード可能な形式を提供しており、会計ソフトや損益計算ツールへ読み込ませて正確な計算を行えるようになっています。
2. DMMの年間取引報告書の特徴
DMMの年間取引報告書は、DMMの取引画面(報告書メニュー)から出力できる損益計算用の報告書や取引履歴ファイル群を含みます。ZIP形式で月別データが提供され、損益計算用データ(TRADE_RECORD_LIST)やCASHFLOWなどのファイルが含まれることが多い点が特徴です。
また、DMMに限らず、日本国内の主要取引所では「年間取引報告書」をログイン後のマイページや報告書メニューから出力する仕様が一般的で、出力にかかる時間はログイン状態であれば短時間で完了することが多いです。
3. 取得方法:ステップ・バイ・ステップ
3.1 DMMサービス終了前に取引履歴をダウンロードする(重要)
DMMはサービス終了とSBI VCトレードへの移管に伴い、既存ユーザーに対して「2025年3月8日までに取引履歴をダウンロードしてください」と案内していました。移管後もSBI側でDMMの取引報告書等を継承するとされていますが、ローカルでの保存は必須の保険的作業です。
基本的なダウンロード手順(DMMでの一般的な流れ)は以下の通りです:
- DMMの取引画面にログインする。
- メニューから「報告書」または「取引履歴/報告書」メニューを選択する。
- 「損益計算用データ」や「年間取引報告書」を指定の期間(例:起点 2025-01-01 終点 2025-12-31)で検索する。
- 表示されるZIPファイルをダウンロードし、解凍して中のCSVやTXTファイルを保存する。
ダウンロードに含まれる代表的なファイル例:
- TRADE_RECORD_LIST(取引レコード一覧)
- CASHFLOW(入出金・振替の一覧)
- 年間損益報告書(PDFまたはCSVでの要約)
上記の具体的手順は、DMM側のヘルプや外部の解説記事でも詳細に説明されていますので、実際に操作する際はマイページの「報告書」画面を参照してください。
4. SBI VCトレードへの移管後の報告書・取得方法
2025年3月8日に実施されたDMMの口座・資産移管により、DMMでの取引に関する各種法定書類(取引報告書等)はSBI VCトレードが継承する旨が公式に示されています。移管後は、SBI VCトレードの取引ツール(PC版トレーダーモードなど)で「口座移管帳票」や報告書を確認・ダウンロードできるようになることが想定されています。
移管後の一般的な流れ(SBI側):
- SBIに初回ログインのための設定を行う(移管案内に従う)。
- PC版の取引ツールにログインし、メニューの「アカウント情報」→「報告書」を開く。
- 「口座移管帳票」や「損益計算用データ(DMM)」のようなタブから月別・年別データをダウンロードする。
移管に伴って、顧客側で新しい口座を作り直す必要はない旨の案内が出されたため、基本的にはSBI側が移管データを取りまとめ、利用者はSBIの管理画面からデータを取得すればよいケースが多いです。しかし、念のため移管前にローカル保存しておくのが安全です。
5. 年間取引報告書を使った確定申告・損益計算の実務ポイント
5.1 どの書類をいつ使うか
確定申告で暗号資産の損益を申告するには、年間を通じた売買記録と入出金記録が必須です。年間取引報告書はその出発点になり、詳細計算は報告書中の個別取引データ(TRADE_RECORD_LIST等)を税務上の計算ルールに沿って整理していきます。
5.2 会計ソフトや損益計算ツールの利用
暗号資産の損益計算には、取引所が出力するCSV/ZIPファイルを読み込める会計ソフトや専用ツールを使うと効率的です。ツールによってはファイル名や列の仕様が取引所ごとに異なるため、DMMやSBIの出力フォーマットに対応しているかを事前に確認してください。
5.3 記録の保存期間
税務上の観点から取引記録や報告書は数年単位で保管しておくことが推奨されます。移管があった年は特に、DMM側のローカル保存(ZIPファイル)とSBI側での取得の両方を行うことで、後日の照合が容易になります。
5.4 よくある注意点
- レバレッジ取引や未決済ポジションは取引所の扱いによって移管対象外となることがあるため、移管通知の詳細を確認すること。
- 複数の取引所で取引している場合、それぞれの年間報告書を合算して計算する必要がある点。
- 入出金(移入・移出)の記録も損益計算に影響するため、CASHFLOW等のファイルも必ず保存・読み込みすること。
6. 実務で役立つテクニックとチェックリスト
6.1 ダウンロード時のチェックリスト
- ダウンロード日と対象期間が正しいか確認する(年の起点・終点が誤っていることがある)。
- ZIPを解凍して中のファイルがすべて揃っているか確認する(TRADE_RECORD_LIST、CASHFLOW等)。
- CSVのエンコーディング(文字化け対策)を確認する。日本語環境ではShift-JISやUTF-8などに注意。
- 取引所で提示される「年間損益報告書(要約)」の数字と、CSVの明細を突合して整合するかチェックする。
6.2 会計ソフトへの取込時のポイント
- 同じ通貨でも取引所間で表記やカラム順が違うため、ツールのインポートテンプレートに合わせて列を整形すること。
- 手数料の扱い(売買差額に含めるか別項目にするか)を会計方針として統一する。
- 移管後はSBI側の出力とDMM側の保存データを比較して、欠落がないかを確認する。
6.3 トラブルが発生したときの対応
- データに抜けがある場合は、まず取引所の「報告書」画面で期間指定やファイル種別を変えて再出力してみる。
- 移管に伴う不明点はSBI VCトレードのサポート窓口へ問い合わせる(移管データの継承や取得方法について案内がある)。
- 税務上の重要な疑義がある場合は、税理士などの専門家に相談することを検討する。
7. DMMからSBI VCトレードへ移管されたデータの取り扱い(利用者が知るべき点)
公式発表では、DMMで実施された取引に関する取引報告書等の法定書類はSBI VCトレードが継承する旨が示されており、移管後はSBIの管理画面で該当の帳票が利用可能になると想定されています。利用者側での再登録が不要で、SBIが口座開設手続きを行うケースが案内されています。
ただし、移管対象には「未決済ポジションは含まれない」などの例外が設けられることがあり得ますので、未決済建玉やレバレッジ取引を行っていた場合は移管通知の条件を確認してください。
8. よくある質問(FAQ)
Q:DMMで過去の取引報告書を取り逃したがどうすれば良いか?
A:可能であればDMMに再ログインして報告書メニューから再出力を試みることが第一です。サービス終了前の保存ができなかった場合でも、SBI VCトレードに移管されていればSBIの管理画面での出力が可能になる場合があります。状況に応じてSBIのサポートへ問い合わせてください。
Q:年間取引報告書の数値と自分の計算が合わない場合は?
A:まずはCSVに含まれる全ての行(手数料や振替、入出金)を会計ツールに取り込み、取込設定(損益の計上方法や手数料の扱い)を確認してください。それでも不一致が残る場合は、取引所の明細行を1件ずつ突合して差分の原因を特定します。
Q:複数取引所の報告書があるときの注意点は?
A:各取引所の報告書を合算して年間の損益を作成する必要があります。通貨ごとの移入・移出があると二重計上や抜けが発生しやすいため、移入(外部から受け入れた数量)と移出(外部へ払い出した数量)を明確に管理してください。
9. 実務事例(参考)
実務では、次のような流れで年間取引報告書を活用することが一般的です:
- 年末にDMMの「年間損益報告書」と月別の損益計算用データを全てダウンロードしてローカル保存する。
- 会計ソフトや損益計算ツールにCSVを取り込み、通貨ごと・取引種別ごとに損益を計算する。
- 不足や不整合がないかを確認後、確定申告用のフォーマットに反映する。
移管が行われる年は、DMM側の出力と移管後にSBIで出力できる内容を両方保管し、後日照合できるようにしておくと安心です。
10. まとめる前の実用アドバイス(チェックポイント)
- 早めにダウンロード:サービス移管や終了がある場合は、早めに取引履歴を取得してローカルに保存しましょう。
- 複数ファイルの保管:TRADE_RECORD_LIST、CASHFLOW、年間損益レポートなど複数ファイルを揃えて保存すること。
- エンコードとフォーマット:CSVの文字コードやカラム順に注意し、会計ツールのインポート仕様に合わせる。
- 移管後の確認:SBIへ移管後はSBIの管理画面で該当帳票が取得できるか確認する。
- 専門家への相談:税務上の取り扱いに不安がある場合は税理士等の専門家へ相談することを検討する。
まとめ
DMMの年間取引報告書は、暗号資産の損益計算や確定申告に必要となる重要な公式資料であり、取引所の「報告書」メニューからTRADE_RECORD_LISTやCASHFLOWといった損益計算用データをダウンロードしておくことが基本です。2025年のサービス終了に伴うSBI VCトレードへの移管により、DMMでの取引報告書はSBIに継承される案内が出されていますが、移管前にローカルでの保存を行い、移管後はSBI側の出力も確認することで、確実に税務対応や記録管理が行えます。会計ソフトや損益計算ツールを活用してCSVを整備し、必要時は専門家へ相談することをおすすめします。
DMMビットコインの年間取引報告書 完全ガイド:取得方法・確定申告・SBI VCトレードへの移管対応をまとめました
本記事で示した手順とチェックリストに従い、DMMおよび移管先のSBI VCトレードから必要な報告書を確実に取得・保存してください。正確な取引履歴の保存と整理が、将来の税務確認や資産管理での安心につながります。



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