ビットコイン、史上高から約3割下落で一時8万ドル台へ　ETF流出と米市場主導で年末に向け警戒もヘイズ氏は強気維持

ビットコイン（BTC）は、2025年11月に入り、価格の変動が活発な局面を迎えています。10月の史上最高値から約3割下落した後、11月20日から21日にかけては9万ドル台前半から一時8万ドル台前半まで急落しましたが、その後は8万ドル台後半での戻り歩調となっています。この動きは市場参加者の注目を集めており、今後の展開に対する期待と警戒が入り混じっています。

11月のビットコイン市場動向

11月のビットコイン価格は、米国の取引時間帯に大きな下落が集中していることが特徴的です。アジア市場ではほぼ横ばい、欧州市場でも小幅な下落にとどまる一方で、米国市場の開場後に価格が急落する傾向が続いています。この動きは、ビットコインが暗号資産というよりも、ハイテク株の代替資産としての性格を強めていることを示唆しています。

また、ETF（上場投資信託）からの資金流出が進んでいることも価格の重しとなっており、現物の売り圧力が続いています。ただし、資金流出のペースが鈍化すれば、売り圧力も徐々に落ち着く可能性があると見られています。

市場のテクニカルシグナルとリスク要因

ビットコインは11月中旬から下落後に「フラッグパターン」と呼ばれるチャート形状を形成しており、これは短期的な調整局面を示すものです。このパターンが示すリスクとして、最大で25％の下落が警戒されています。特に8万9,100ドルの重要な価格水準を下回ると、さらなる下落圧力が強まる可能性があります。

一方で、短期保有者のビットコイン保有量が増加していることも注目されており、これは市場における売却圧力の増加を示唆しています。これらの動きは、価格の変動性が高まる中で投資家が慎重な姿勢を取っていることを反映しています。

著名アナリストの見解

ビットメックス共同創設者のアーサー・ヘイズ氏は、11月27日にビットコインの年末に向けた強気の見通しを維持しました。彼は、米ドルの流動性が底打ちし、量的引き締め政策が終了することで、ビットコインの次の上昇局面が始まると予測しています。ヘイズ氏は、現在の価格から大幅な上昇の可能性を示唆しつつも、短期的には一時的な価格調整も想定しています。

主要暗号資産の動向

ビットコイン以外の主要暗号資産も注目されています。イーサリアム（ETH）は11月29日時点で小幅な上昇を見せており、ベーシックアテンショントークン（BAT）は過去1ヶ月で大きく上昇しています。これらの動きは、暗号資産市場全体の活性化を示すポジティブなサインと捉えられています。

セキュリティと市場の信頼性

暗号資産取引所におけるセキュリティ対策も引き続き重要なテーマです。最近の事例として、韓国の大手取引所アップビットがハッキング被害を受けましたが、被害額は企業が全額補償する方針を示しており、ユーザー保護の姿勢が評価されています。こうした対応は市場の信頼性向上に寄与しています。

今後の展望と注目ポイント

ビットコイン市場は、価格のボラティリティが高いものの、長期的な成長ポテンシャルを秘めています。今後数週間は、8万ドルから10万ドルのレンジ内での推移が予想されており、ETFからの資金流出の動向や米国の金融政策の影響が注目されます。

また、世界的な経済情勢や規制動向も暗号資産市場に影響を与えるため、最新のニュースを継続的にチェックすることが重要です。投資判断に際しては、価格予想や短期的な動きに過度に依存せず、情報収集とリスク管理を心がけることが求められます。

まとめ

2025年11月のビットコイン市場は、価格の大幅な変動とともに、米国市場の影響が顕著に現れています。ETFからの資金流出や短期的なテクニカルリスクが存在する一方で、著名アナリストによる強気の見通しや主要暗号資産の活発な動きが市場の活性化を支えています。セキュリティ面でも取引所の対応が進み、ユーザー保護の強化が図られていることは市場の信頼性向上に寄与しています。今後も金融政策や世界経済の動向を注視しつつ、冷静な情報収集が重要です。