暗号資産関連株式ファンド入門：『シークレット・コード』で間接的に暗号資産市場を狙う

暗号資産関連株式ファンドは、暗号資産（仮想通貨）そのものに直接投資するのではなく、暗号資産に関連するビジネスを展開する企業の株式に投資する投資信託の一種です。これにより、暗号資産市場の成長や技術革新の恩恵を享受しつつ、株式投資の形でリスク分散を図ることが可能となります。

暗号資産関連株式ファンドの特徴

この種のファンドは、世界中の金融商品取引所に上場している企業の中から、暗号資産に関連する事業を行う企業を厳選して投資対象とします。具体的には、暗号資産の取引プラットフォーム、ウォレットの開発・提供、マイニング事業、ブロックチェーン技術の活用企業、決済システムの構築企業などが含まれます。

例えば、アセットマネジメントOneが2025年7月に設定した「暗号資産関連株式ファンド（愛称：シークレット・コード）」は、世界の上場株式約2,500～3,000銘柄の中から、暗号資産関連ビジネスを行う約200社を投資ユニバースとして特定し、さらに75～100社に絞り込み、最終的に30～60銘柄でポートフォリオを構築しています。

投資対象企業の具体例とビジネス領域

暗号資産関連株式ファンドが投資する企業は多岐にわたります。以下は代表的なビジネス領域と企業例です。

マイニング事業：ビットコインなどの暗号資産を採掘する企業。例として、再生可能エネルギーを活用したマイニングを行う企業も注目されています。
ウォレット開発・管理：暗号資産を安全に保管・管理するためのソフトウェアウォレットやハードウェアウォレットの提供企業。
取引所・金融商品提供：暗号資産の取引プラットフォームや関連金融商品の開発・運営を行う企業。
決済・送金システム：暗号資産を利用した支払いや国際送金のインフラを提供する企業。
ブロックチェーン技術開発：暗号資産の基盤技術であるブロックチェーンの開発や応用を行う企業。

運用方針とリサーチ手法

暗号資産関連株式ファンドは、ボトムアップ・リサーチを重視しています。これは、企業の財務状況や事業内容、暗号資産ビジネスとの関連度合いを詳細に分析し、成長が期待できる銘柄を選定する方法です。単に時価総額や市場のトレンドに頼るのではなく、個別企業の競争力や技術力、将来性を見極めることに重点を置いています。

また、ポートフォリオの構築にあたっては、銘柄の分散やリスク管理も徹底されており、複数の銘柄に分散投資することで、特定企業のリスクを抑えつつ、暗号資産関連市場全体の成長を享受できるよう設計されています。

暗号資産関連株式ファンドのメリット

間接的な暗号資産市場への参加：暗号資産の価格変動リスクを直接負うことなく、関連企業の成長を通じて市場の恩恵を受けられます。
分散投資によるリスク軽減：複数の企業に分散して投資するため、個別企業の業績悪化リスクを抑制できます。
専門的なリサーチと運用：暗号資産分野に精通した運用チームが、最新の技術動向や市場環境を踏まえて銘柄選定を行います。
成長市場へのアクセス：暗号資産やブロックチェーン技術は今後も拡大が期待されており、その関連企業の成長を取り込むことが可能です。

暗号資産関連株式ファンドの注意点

暗号資産関連株式ファンドは成長性が高い一方で、暗号資産市場の規制動向や技術革新の速度、競争環境の変化に影響を受けやすい特徴があります。したがって、投資にあたっては長期的な視点と市場の動向を注視する姿勢が重要です。

日本における暗号資産関連株式ファンドの現状

2025年7月にアセットマネジメントOneが設定した「暗号資産関連株式ファンド（愛称：シークレット・コード）」は、日本国内で初めて暗号資産関連市場に特化した株式ファンドとして注目されています。このファンドは、国内外の上場企業の中から暗号資産関連ビジネスを行う企業に投資し、NISAの成長投資枠の対象にもなっています。

このようなファンドの登場は、暗号資産市場の拡大とともに、投資家に新たな資産運用の選択肢を提供するものとして期待されています。

今後の展望

暗号資産関連株式ファンドは、暗号資産が社会インフラとして定着し、関連技術やサービスが進化するにつれて、投資対象企業の成長も加速すると考えられています。規制の整備や技術革新が進むことで、より多くの企業が暗号資産関連ビジネスに参入し、市場の裾野が広がることが期待されています。

そのため、暗号資産関連株式ファンドは、将来的な成長分野への投資機会として注目され続けるでしょう。

まとめ

暗号資産関連株式ファンドは、暗号資産そのものではなく、その関連ビジネスを展開する企業の株式に投資することで、暗号資産市場の成長を間接的に享受できる投資商品です。ボトムアップ・リサーチを通じて成長が期待できる企業を厳選し、分散投資を行うことでリスク管理も図られています。日本国内でも初の暗号資産関連株式ファンドが設定されるなど、今後の市場拡大に伴い注目度が高まっています。