2026年施行予定の仮想通貨税改正まとめ：税率一律20.315%へ、損失繰越で投資はどう変わる

近年、仮想通貨市場は急速に成長し、個人投資家から企業まで幅広く注目されています。しかし、その一方で、仮想通貨取引による利益に対する税制は、他の金融商品と比べてやや複雑で、負担が重いとされてきました。2025年から2026年にかけて、日本では仮想通貨の税制改正が大きな話題となっており、投資家の皆様にとって非常に重要な情報が続々と発表されています。この記事では、仮想通貨税改正の概要、具体的な変更点、施行時期、そして投資家へのメリットについて、複数の情報源をもとに詳しく解説していきます。

仮想通貨税制の現状

現在、日本における仮想通貨取引で得た利益は「雑所得」として扱われており、給与所得やその他の所得と合算して「総合課税」の対象となっています。つまり、仮想通貨で得た利益は、年間の給与や副業収入などと合算され、その合計額に応じて所得税率が適用されます。所得税率は5%から45%まで段階的に設定されており、それに加えて住民税10%が課税されるため、最大で55%の税率が適用されるケースがあります。

例えば、年間の給与所得が高く、仮想通貨取引でも大きな利益を出した場合、合算された所得金額が高くなるため、高い税率が適用され、税負担が非常に重くなる可能性があります。また、現行制度では、仮想通貨取引で損失が出た場合でも、他の所得との損益通算や損失の繰越控除が認められていないため、投資家にとっては不利な点も多かったのが現状です。

2026年から導入される税制改正の概要

2026年から予定されている仮想通貨税制改正では、仮想通貨取引による利益の課税方式が大きく見直されます。具体的には、「総合課税」から「申告分離課税」への移行が検討されており、税率も大幅に引き下げられる見込みです。この改正により、仮想通貨取引の利益は、株式や投資信託など他の金融商品と同様に、一律20.315%（所得税15.315%＋住民税5%）の税率で課税されるようになります。

この税率は、現行の最大55%と比べて大幅に低くなるため、特に高所得者や仮想通貨取引で大きな利益を得ている投資家にとっては大きな節税効果が期待できます。また、損失が出た場合も、翌年以降3年間、その損失を繰り越して控除できるようになるため、投資リスクの軽減にもつながります。

改正前と改正後の比較

以下に、現行制度と改正後の制度を比較した表を示します。

項目	現行制度（～2025年）	改正後（2026年～予定）
課税方式	総合課税（雑所得）	申告分離課税
税率	最大55%（所得税45%＋住民税10%）	一律20.315%（所得税15.315%＋住民税5%）
損失繰越	不可	3年間可能
他の所得との損益通算	不可	不可（分離課税のため）
NISA適用	不可	不可（当面）

この表からもわかるように、改正後は税率と損失繰越の面で株式投資と同等の扱いになります。ただし、NISA（少額投資非課税制度）の適用は当面見込まれていないため、非課税枠での投資はできません。

施行時期と今後の見通し

仮想通貨税制改正は、2025年8月時点で金融庁が税制改正要望として提出されており、2025年12月の税制改正大綱を経て、2026年の通常国会で審議される予定です。施行時期は2026年度からとされており、順調に進めば2026年4月以降に適用される可能性が高いとされています。

ただし、あくまで現時点では「要望」段階であり、最終的な法案成立や施行時期は今後の国会審議や政府の判断にかかっています。投資家の方々は、今後の動向に注目し、確定申告や税務処理の準備を進めておくことが重要です。

投資家へのメリット

仮想通貨税制改正により、投資家には以下のようなメリットが期待できます。

税率の大幅引き下げ：最大55%から20.315%への引き下げにより、税負担が大幅に軽減されます。特に、年間の給与所得や仮想通貨取引の利益が大きい投資家ほど、節税効果が大きくなります。
損失繰越控除の導入：損失が出た場合、翌年以降3年間、その損失を繰り越して控除できるようになります。これにより、投資リスクの軽減や、将来的な税負担の予測がしやすくなります。
税負担の予測可能性：申告分離課税により、仮想通貨取引の利益に対する税率が一律になるため、税負担の予測がしやすくなります。他の所得との合算が不要になるため、確定申告の手続きも簡素化される可能性があります。
国際競争力の強化：他の先進国と比べて高い税率が課されていた日本において、仮想通貨税制の改正は国際的な競争力強化にもつながります。海外の投資家や企業にとっても、日本市場への参入がしやすくなることが期待されます。

法人向けの税制改正

仮想通貨税制改正は個人投資家だけでなく、法人にとっても大きな影響があります。2025年の税制改正では、自社が発行した暗号資産（トークン）に関して、期末評価課税が不要となりました。つまり、譲渡（売却など）を行うまでは、帳簿上の含み益があっても税金は発生しない仕組みです。

この改正により、法人が保有するトークンの評価益が課税対象にならなくなるため、資金繰りや財務管理の面で大きなメリットがあります。特に、ブロックチェーン技術を活用する企業や、自社トークンを発行するスタートアップにとっては、非常に大きな支援策となります。

注意点と今後の課題

仮想通貨税制改正は投資家にとって大きなメリットがありますが、いくつか注意点もあります。

施行時期の不確定性：現時点では要望段階であり、最終的な法案成立や施行時期は今後の国会審議や政府の判断にかかっています。投資家の方々は、今後の動向に注目し、確定申告や税務処理の準備を進めておくことが重要です。
NISA適用の見通し：改正後もNISA（少額投資非課税制度）の適用は当面見込まれていないため、非課税枠での投資はできません。今後の制度拡充に期待が寄せられています。
税務処理の変更：申告分離課税への移行により、確定申告の手続きや税務処理が変わる可能性があります。税理士や専門家に相談しながら、適切な対応を進めることが大切です。

仮想通貨税改正の今後の展望

仮想通貨税制改正は、日本における仮想通貨市場の健全な発展に大きく貢献することが期待されています。税率の引き下げや損失繰越控除の導入により、投資家の税負担が軽減され、より多くの人々が仮想通貨市場に参加しやすくなるでしょう。また、法人向けの税制改正も、ブロックチェーン技術やトークンエコノミーの発展を後押しする重要な施策です。

今後は、仮想通貨税制改正に加えて、金融商品取引法の適用や、NISA制度の拡充など、さらなる制度整備が進められることが期待されています。投資家や企業にとって、仮想通貨市場はますます魅力的な投資先となるでしょう。

まとめ

2026年から予定されている仮想通貨税制改正は、投資家にとって非常に大きなメリットがあります。税率の大幅引き下げや損失繰越控除の導入により、税負担が軽減され、投資リスクの軽減や税務処理の簡素化が期待できます。また、法人向けの税制改正も、ブロックチェーン技術やトークンエコノミーの発展を後押しする重要な施策です。今後の動向に注目しながら、適切な税務処理や投資戦略を進めていくことが大切です。