近年、暗号資産(仮想通貨)取引を行う人が増えていますが、利益が出た場合には確定申告が必要です。ここでは、暗号資産の確定申告の基本的なやり方から、必要な書類、計算方法、申告の流れまでをわかりやすく解説します。これから初めて申告をする方や、申告方法に不安がある方に役立つ内容です。
1. 暗号資産の確定申告が必要なケースとは?
暗号資産の取引で利益が出た場合、一定の条件を満たすと確定申告が必要になります。具体的には以下のようなケースです。
- 給与所得者で、暗号資産の利益を含む雑所得が年間20万円を超える場合
- 個人事業主やフリーランスで、暗号資産の利益がある場合
- 被扶養者であっても、暗号資産の利益を含めた合計所得が基礎控除を超える場合
- 医療費控除や住宅ローン控除を受けるために申告が必要な場合(利益が20万円以下でも申告が必要)
逆に、暗号資産を購入・保有しているだけで売却や交換をしていなければ、所得は発生しないため申告は不要です。
2. 確定申告の対象となる所得の種類
暗号資産の取引による利益は「雑所得(その他)」に分類されます。給与所得や事業所得とは別に計算し、確定申告書の雑所得欄に記入します。
3. 利益の計算方法
暗号資産の利益は、売却や交換時の「売却価格(または交換時の時価)」から「取得価格(購入価格)」を差し引いて計算します。計算方法には主に以下の2つがあります。
- 総平均法:取得した暗号資産の平均取得価格を用いて計算
- 移動平均法:取引ごとに取得価格を更新しながら計算
初めて暗号資産を取得した年の翌年3月15日までに「所得税の暗号資産の評価方法の届出書」を提出し、どちらかの方法を選択します。届出がない場合は総平均法が適用されます。選択した方法は原則3年間変更できません。
4. 確定申告の準備に必要な書類
- 取引所から発行される「年間取引報告書」や取引履歴の明細
- 源泉徴収票(給与所得者の場合)
- マイナンバーカードや本人確認書類
- 「所得税の暗号資産の評価方法の届出書」(初回のみ)
取引履歴は正確に集めることが重要で、複数の取引所を利用している場合はすべての履歴をまとめておきましょう。
5. 確定申告の具体的な手順
- 取引履歴の収集と損益計算
取引所の年間取引報告書や履歴をもとに、利益や損失を計算します。計算には専用の損益計算ツールやソフトを利用すると効率的です。 - 確定申告書の作成
国税庁の「確定申告書等作成コーナー」やe-Taxを利用して申告書を作成します。雑所得の欄に暗号資産の損益を記入し、必要事項を入力します。 - 申告書の提出と納税
作成した申告書を税務署に提出します。e-Taxならオンラインで提出可能です。納税も申告期限までに行いましょう。
6. 損失が出た場合の取り扱い
暗号資産取引で損失が出た場合、その損失は他の所得と損益通算できません。また、翌年以降に繰り越すこともできないため、損失が出た年の申告は正確に行うことが重要です。
7. 注意点とポイント
- 暗号資産の評価は「暗号資産」と記載し、「仮想通貨」という表現は正式な申告書では避ける
- 複数の暗号資産を取引している場合は、それぞれの損益を計算し合算する
- 経費として認められるもの(取引手数料など)は適切に計上する
- 申告期限は通常、翌年の3月15日まで
- 申告漏れや誤りがあった場合は修正申告が可能
8. 確定申告をスムーズに進めるためのおすすめツール
暗号資産の取引履歴や損益計算は複雑になりやすいため、以下のようなツールの利用が便利です。
- 取引所が提供する「年間取引報告書」
- 損益計算ソフト(クリプタクト、マネーフォワードなど)
- 国税庁の「確定申告書等作成コーナー」
これらを活用することで、計算ミスを減らし、申告書の作成も効率的に行えます。
9. よくある質問
Q1: 暗号資産を保有しているだけで申告は必要ですか?
保有しているだけで売却や交換をしていなければ所得は発生しないため、申告は不要です。
Q2: 暗号資産の利益が20万円以下でも申告は必要ですか?
給与所得者の場合、利益が20万円以下なら原則申告不要ですが、医療費控除や住宅ローン控除を受ける場合は申告が必要です。
Q3: 損失が出た場合、翌年以降に繰り越せますか?
暗号資産の損失は他の所得と損益通算できず、翌年以降に繰り越すこともできません。
まとめ
暗号資産の確定申告は、利益が一定額を超えた場合に必要となり、正確な取引履歴の収集と損益計算が重要です。申告書は国税庁のオンラインシステムや専用ツールを活用して作成し、期限内に提出・納税を行いましょう。損失が出た場合の取り扱いや評価方法の届出など、ポイントを押さえてスムーズに申告を進めることができます。
初めてでも安心!暗号資産(仮想通貨)の確定申告のやり方 ─ 必要書類・損益計算・提出手順をやさしく解説をまとめました
暗号資産の確定申告は、利益の計算から申告書の作成、提出まで一連の流れを理解することが大切です。複雑に感じる場合もありますが、取引履歴の整理や損益計算ツールの利用、国税庁の申告書作成コーナーの活用で効率的に対応可能です。正しい知識を持って、安心して申告を行いましょう。



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