仮想通貨の利益が年間20万円以下なら申告不要？給与所得者の条件と例外・注意点をわかりやすく解説

近年、仮想通貨（暗号資産）の取引が広がる中で、税金の扱いについて関心が高まっています。特に「仮想通貨の利益が20万円以下の場合、税金はどうなるのか？」という疑問を持つ方も多いでしょう。本記事では、仮想通貨の税金の基本ルールや、20万円以下の利益に関する確定申告の要否、注意点などをわかりやすく解説します。

仮想通貨の利益は「雑所得」として課税される

仮想通貨の取引で得た利益は、税法上「雑所得」に分類されます。雑所得は給与所得や事業所得などとは別に計算され、他の所得と合算して総合課税の対象となります。つまり、仮想通貨の利益だけでなく、給与や他の所得と合算した所得に応じて税率が決まります。

税率は累進課税で、所得が多いほど高い税率が適用されます。例えば、所得税の税率は5％から最大45％まであり、これに加えて住民税（約10％）が課されます。したがって、仮想通貨の利益が大きい場合は、税負担も大きくなる仕組みです。

利益が20万円以下なら確定申告は原則不要

給与所得者（会社員や公務員など）で、給与以外の所得（雑所得を含む）が年間20万円以下の場合、確定申告は不要とされています。つまり、仮想通貨の利益が20万円以下であれば、確定申告をしなくてもよいケースが多いのです。

ただし、これはあくまで「確定申告が不要」というだけで、税金が免除されるわけではありません。利益があっても20万円以下なら申告義務が免除されるという扱いです。

確定申告が不要な場合の条件

給与所得者で給与以外の所得（雑所得など）の合計が年間20万円以下
給与所得の年間収入が2,000万円以下
個人事業主や年金所得者など特別なケースは除く

これらの条件に該当しない場合は、たとえ利益が20万円以下でも申告が必要になることがあります。

20万円以下でも申告が必要なケース

利益が20万円以下でも、以下のような場合は確定申告が必要です。

給与所得が2,000万円を超える場合
個人事業主として開業している場合
年金所得者で公的年金収入が400万円を超える場合
給与所得以外の所得が20万円を超える場合（複数の雑所得を合算）

また、確定申告が不要でも住民税の申告は必要になるケースがあるため、住んでいる市区町村のルールを確認しましょう。

仮想通貨の税金計算のポイント

仮想通貨の利益は「売却価格－取得価格」で計算されます。取引のたびに取得価格と売却価格を比較し、利益を確定させます。利益が出た場合は、その合計額が年間の雑所得となります。

例えば、2025年にビットコインを100万円で購入し、同年中に150万円で売却した場合、50万円の利益が発生します。この利益に対して所得税と住民税がかかります。

所得税は累進課税で、所得に応じて5％から最大45％まで変動します。住民税は一律約10％です。したがって、50万円の利益に対しては、所得税と住民税を合わせて約15万円程度の税金がかかる可能性があります（所得控除などにより変動します）。

2025年以降の税制改正の影響

2025年の税制改正では、法人が発行するトークンの期末評価課税が不要になるなどの変更がありましたが、個人の仮想通貨取引に関する基本的な税制は大きく変わっていません。

引き続き、仮想通貨の利益は雑所得として総合課税の対象であり、利益が20万円を超えた場合は確定申告が必要です。また、損益通算ができない点や、NFTやステーキング報酬も課税対象となる点に注意が必要です。

将来的な税制の動向と申告分離課税の可能性

現在、仮想通貨の利益は総合課税ですが、一部では申告分離課税（一律約20％の税率）への移行が議論されています。申告分離課税が導入されれば、所得に関係なく一定の税率で課税されるため、高所得者の税負担が軽減される可能性があります。

ただし、2025年時点ではまだ導入されておらず、今後の税制改正の動向を注視する必要があります。

確定申告の手続きと注意点

仮想通貨の利益が20万円を超えた場合、確定申告の際には以下の点に注意しましょう。

取引履歴や購入・売却の証明書類を整理しておく
取得価格と売却価格を正確に計算する
必要経費（取引手数料など）も計上できる場合がある
他の所得と合算して税率が決まるため、全体の所得状況を把握する
税務署や専門家に相談し、不明点を確認する

また、仮想通貨の取引は複雑になることが多いため、税務ソフトや専門の税理士を活用するのも有効です。

まとめ

仮想通貨の利益が年間20万円以下の場合、給与所得者であれば原則として確定申告は不要です。ただし、給与所得が多い場合や個人事業主など特別なケースでは申告が必要になることもあります。利益が20万円以下でも住民税の申告が必要な場合もあるため、注意が必要です。仮想通貨の利益は雑所得として総合課税の対象であり、所得に応じて税率が変わります。2025年の税制改正では個人の基本ルールは変わっていませんが、将来的に申告分離課税の導入が検討されています。確定申告の際は取引記録を正確に管理し、必要に応じて専門家に相談することが重要です。