なぜDMMビットコインで現物取引ができないのか？不正流出からサービス終了、顧客資産の移管まで徹底解説

DMMビットコインはかつて日本国内で人気のあった暗号資産（仮想通貨）取引サービスの一つでしたが、2024年5月に発覚したビットコインの不正流出事件をきっかけに、現物取引を含む多くのサービスに制限がかかり、最終的に2025年3月にサービスを終了しました。この記事では、なぜDMMビットコインで現物取引ができなくなったのか、その背景や影響、そして顧客資産の移管先などについて詳しく解説します。

1. DMMビットコインの現物取引が停止された背景

2024年5月、DMMビットコインで約482億円相当のビットコインが不正に流出したことが発覚しました。この事件は業界内でも大きな衝撃を与え、金融庁からの監督強化や業務改善命令が出される事態となりました。流出の影響を受け、DMMビットコインは顧客資産の安全確保を最優先に、現物取引の買い注文受付停止や暗号資産の出庫処理の制限など、サービスの大幅な制限を余儀なくされました。

具体的には、現物取引の買い注文は停止され、売却のみが可能な状態となりました。また、レバレッジ取引においても新規建玉注文が停止され、決済注文のみ受け付ける形に変更されました。これにより、顧客は新たにビットコインを購入することができず、既存のポジションの管理に限定された取引環境となりました。

2. 不正流出事件の影響とサービス制限の長期化

不正流出事件の影響は長期化し、2024年12月時点でも現物取引の買い注文受付や暗号資産の出庫処理に制限が続いていました。これにより、DMMビットコインの利用者は新規購入や他取引所への資産移管が困難な状況が半年以上続き、顧客の利便性は大きく損なわれました。

こうした状況を踏まえ、DMMビットコインは2024年12月に事業撤廃を発表。顧客資産は2025年3月にSBIグループのSBI VCトレードへ移管されることが決定しました。移管に伴い、DMMビットコインのサービスは2025年3月8日をもって正式に終了しています。

3. DMMビットコインの現物取引ができなかった理由

DMMビットコインで現物取引ができなかった主な理由は以下の通りです。

不正流出による資産管理体制の見直し：事件発覚後、金融庁からの指導により資産管理体制の強化が求められ、サービスの一部停止が必要となった。
顧客資産の安全確保：流出被害の拡大防止のため、暗号資産の出庫や新規購入注文の受付を制限し、顧客資産の保全に注力した。
経営の立て直し困難：事件の影響で経営再建が難しくなり、最終的に事業撤廃を決定した。
取引所形式の現物取引サービス未提供：DMMビットコインは取引所形式での現物取引を提供しておらず、販売所形式やBitMatch注文による取引が主であったため、取引コスト面での課題もあった。

4. 顧客資産の移管と今後の対応

サービス終了に伴い、DMMビットコインの顧客資産はSBI VCトレード株式会社に移管されました。移管後はSBI VCトレードのプラットフォームで取引を継続することが可能です。ただし、移管に際しては顧客情報の再確認や、取扱銘柄・ブロックチェーンの違いによる注意点もあります。

例えば、ポリゴン（MATIC）の対応ブロックチェーンがDMMビットコインではEthereum（ERC20）だったのに対し、SBI VCトレードではPolygonとなっているため、移管後の入出庫時には対応状況を確認する必要があります。また、移管後に取引制限がかかる場合もあるため、利用者はSBI VCトレードの案内に従うことが重要です。

5. DMMビットコインの現物取引に関する注意点と代替手段

DMMビットコインは取引所形式の現物取引を提供していなかったため、取引コスト（スプレッド）が比較的高い販売所形式での取引が中心でした。これにより、より低コストで現物取引を行いたいユーザーは他の取引所を選択する傾向がありました。

現在、DMMビットコインのサービスは終了していますが、現物取引を希望する場合はSBI VCトレードをはじめ、国内の他の暗号資産取引所を利用することが推奨されます。これらの取引所では、取引所形式の現物取引が可能であり、手数料やスプレッドも比較的抑えられています。

また、暗号資産の送金に関しては、日本国内の取引所間でトラベルルール（送金時の顧客情報管理ルール）の違いにより送金が制限されるケースもあります。利用者は送金先の取引所の対応状況を事前に確認し、誤送金や手数料負担を避けるよう注意が必要です。

6. DMMビットコインのサービス終了後のサポート

2025年3月のサービス終了後、DMMビットコインの公式アプリやウェブサイトは利用できなくなりました。顧客からの問い合わせやサポートはSBI VCトレードが引き継いでいます。移管後の取引や資産管理については、SBI VCトレードのサポート窓口を利用してください。

まとめ

DMMビットコインは2024年5月のビットコイン不正流出事件を契機に、現物取引を含む多くのサービスに制限がかかり、最終的に2025年3月にサービスを終了しました。顧客資産はSBI VCトレードに移管され、現在は同社のプラットフォームで取引が可能です。DMMビットコインの現物取引ができなかった背景には、不正流出による資産管理体制の見直しや経営の困難さ、取引所形式の現物取引未提供などがありました。今後は他の取引所を利用して現物取引を行うことが推奨されます。