ビットコインレンディングとは
ビットコインレンディングは、保有しているビットコインを取引所やサービス提供企業に一定期間貸し出し、その対価として利息を受け取る仕組みです。この方法により、ビットコインを売却することなく、保有資産から収益を生み出すことができます。長期的にビットコインを保有する予定がある投資家にとって、ただ保管しているだけでは得られない追加的なリターンを期待できる運用方法として注目されています。
2025年には、ビットコインの価格上昇に伴い、投資家がコインを売却するか、レバレッジをかけるか、あるいは流動性を確保する方法を検討する中で、レンディングがコインを売却せずに流動性を引き出すための人気の戦略となっています。この戦略により、保有者はビットコインを担保に借り入れを行い、将来の利益の可能性を維持しながら資金にアクセスできるという利点があります。
ビットコインレンディングの仕組み
中央集権型（CeFi）レンディング
中央集権型レンディングは、企業や取引所など特定の管理主体がユーザーと借り手を仲介する方式です。利用者は自分のビットコインをサービス運営企業に預け、その企業が別のユーザーや金融機関などに貸し出します。この方式は手続きや本人確認が比較的わかりやすく、初心者にも利用しやすいという特徴があります。
中央集権型レンディングの基本的な流れは以下の通りです。まず、ユーザーと仮想通貨取引所の間で消費貸借契約を結びます。その後、ユーザーがビットコインを取引所へ一定期間貸し付けます。契約期間が満了すると、取引所は借り受けたビットコインをユーザーへ返却し、借り受けた数量と期間に応じた貸借料を支払います。この流れにより、ユーザーは安定した利息収入を得ることができます。
分散型（DeFi）レンディング
分散型レンディングは、ブロックチェーン上で自動的に契約・利息受取ができるシステムです。スマートコントラクトにより、仲介者を必要とせず、プロトコルが自動的に貸借を管理します。DeFiレンディングの代表的なプロトコルには、Aaveやcompoundなどがあります。
分散型プロトコルはハッキング被害が課題になる一方で、システム更新による防御力強化が続けられてきました。担保管理や清算機能も改良され、相場急変時に備えた仕組みが徐々に整備されています。DeFiレンディングは中央集権型と比べて、より高い利率を提供することもありますが、技術的なリスクを理解した上での利用が必要です。
ビットコインレンディングのメリット
売却せずに流動性を確保
ビットコインレンディングの最大のメリットは、ビットコインを売却することなく流動性を確保できることです。ビットコインの価格が上昇している局面では、売却してしまうと将来の値上がり益を逃してしまいます。レンディングを活用することで、ビットコインを保有し続けながら、必要な資金を調達できます。
保有資産の効率的な運用
長期的にビットコインを保有する予定の資産を効率的に運用できることも大きなメリットです。ただ保管しているだけでは得られない収益を期待できます。特に、市場が横ばいの時期や、価格の大きな変動がない期間において、追加的なリターンを生み出すことができます。
複利効果の期待
レンディングで得た利息をさらに再投資することで、複利効果を期待できます。長期的な資産形成において、この複利効果は大きな力となります。
ビットコインレンディングのリスク
カウンターパーティリスク
中央集権型レンディングを利用する場合、サービス提供企業の経営破綻やハッキングによる資産喪失のリスクがあります。これをカウンターパーティリスクと呼びます。サービス提供企業の信頼性や、資産の保管方法を十分に確認することが重要です。
スマートコントラクトのリスク
分散型レンディングを利用する場合、スマートコントラクトの脆弱性やバグによるリスクがあります。プロトコルのセキュリティ監査状況や、過去のハッキング被害の有無を確認することが重要です。
市場変動リスク
ビットコインの価格が大きく下落した場合、担保として預けたビットコインが清算される可能性があります。特に、担保を必要とするレンディングサービスを利用する場合は、この点に注意が必要です。
主要なビットコインレンディングサービス
SBI VCトレード
SBI VCトレードは、国内の主要な暗号資産取引所の一つです。取り扱いのある全36銘柄のうち34銘柄でのレンディングが可能で、他社と比べても高い利率を付与しています。ビットコインの最小貸し出し数量は0.01BTCで、固定期間型と変動期間型の2つのコースが用意されています。固定期間型では中途解約ができませんが、変動期間型では1日単位での解約が可能です。
bitbank
bitbankは、取り扱う通貨全てでレンディングが可能で、最大年率3%で1年間レンディングが行えるサービスを提供しています。基本的に中途解約はできませんが、中途解約が認められる場合は5%の手数料が発生します。ビットコイン、イーサリアム、リップルなど、多くの主要な暗号資産に対応しています。
Nexo
Nexoは、欧州を中心に実績を積んでいる中央集権型レンディングサービスです。年利は5～15%程度で、通貨とNEXO保有量によって変動します。ただし、米国撤退など地域差があり、利用制限に注意が必要です。
Ledn
Lednはカナダ拠点で、透明性を重視するレンディングサービスです。ビットコインとステーブルコインに特化しており、年利は3～8%程度です。BTC・USDCのレンディングに特に力を入れています。
Aave
Aaveは、DeFiレンディングの代表格です。多チェーン対応で、Ethereum、Polygon、Avalancheなど複数のブロックチェーンで利用できます。年利は0.5～6%程度で、需要が高い時は10%を超えることもあります。
Compound
Compoundは、Aaveと並ぶ分散型プロトコルの草分けです。年利は1～5%程度で、主要通貨の流動性により変動します。DeFiレンディングの初期段階から存在する信頼性の高いプロトコルです。
ビットコインレンディングの利用方法
サービスの選択
まず、自分のニーズに合ったレンディングサービスを選択することが重要です。中央集権型と分散型のどちらを選ぶか、年利の高さ、対応通貨、最小貸し出し数量などを比較検討します。
アカウント開設と本人確認
選択したサービスでアカウントを開設し、本人確認を完了させます。中央集権型サービスでは、通常、本人確認が必須です。
ビットコインの預け入れ
ウォレットまたは連携した取引所口座からビットコインを預け入れます。最小貸し出し数量を確認し、それ以上の数量を預け入れる必要があります。
貸出期間の選択
固定期間型と変動期間型など、複数の貸出期間から選択できるサービスもあります。自分の資金計画に合わせて、適切な期間を選択します。
利息の受け取り
契約期間が満了すると、ビットコインと利息が返却されます。毎日リターンを受け取るようなレンディングサービスもあります。
ビットコインレンディングと税務
レンディング収益の課税
レンディングで得た利息は、受け取った時点で課税対象となります。レンディングの報酬として受け取った仮想通貨の取得価額は、受け取った時点での時価となります。
取引履歴の管理
毎日リターンを受け取るようなレンディングサービスの場合、取引履歴の量が膨大になる可能性があります。確定申告の際には、これらの取引履歴を正確に記録し、損益を計算する必要があります。
専門家への相談
レンディングの税務処理は複雑な場合があるため、税理士などの専門家に相談することをお勧めします。
ビットコインレンディングの最新動向
2025年の市場拡大
2024年に米国でビットコイン現物ETFが承認されたことで、従来より広範な投資家（機関・個人）が仮想通貨市場に参入し、世界全体の時価総額は450兆円を超える水準まで急拡大しました。この背景により、ビットコインレンディングへの関心も高まっています。
新しいレンディングサービスの登場
再生可能エネルギーを活用した仮想通貨マイニング事業を手がける企業から、新たなレンディングサービスが登場しています。これらのサービスは、個人投資家を対象としたもので、暗号資産の値動きが予測どおりだったかに応じて金利が変動するなど、従来とは異なる仕組みを採用しています。
規制環境の整備
グローバルでは、ブロックチェーン上で自動的に契約・利息受取ができるDeFiレンディングも拡大しています。その一方で、当局規制やカストディ（預かり管理）、AML/CFT（マネロン・テロ資金供与防止）などへの厳格な対応が求められています。これにより、より安全で透明性の高いレンディングサービスが提供されるようになると期待されています。
2025年下半期の注目
2025年下半期に注目されている資産・運用手段として、「ビットコイン」と「国内株式」が拮抗し、暗号資産と株式を重視する傾向がみられています。ビットコインレンディングは、この注目の高まりの中で、さらに多くの投資家に利用されるようになると予想されます。
ビットコインレンディングを始める前に確認すべきポイント
サービス提供企業の信頼性
中央集権型レンディングを利用する場合、サービス提供企業の信頼性は最も重要な要素です。企業の背景、経営陣の経歴、過去の実績などを十分に調査することが必要です。
セキュリティ対策
ビットコインを預ける際には、サービス提供企業のセキュリティ対策を確認することが重要です。コールドウォレット（オフライン保管）の使用、マルチシグネチャ、保険の有無などを確認します。
利率の比較
複数のサービスの利率を比較し、自分のニーズに最も適したサービスを選択します。ただし、利率が高いからといって、必ずしも最良の選択とは限りません。リスクと利率のバランスを考慮することが重要です。
契約条件の確認
貸出期間、最小貸し出し数量、中途解約の可否、手数料などの契約条件を十分に確認します。特に、中途解約ができない場合は、その期間中は資金が拘束されることになります。
リスク管理
レンディングに預ける金額は、失っても生活に支障がない範囲に限定することが重要です。また、複数のサービスに分散して預けることで、リスクを軽減することができます。
ビットコインレンディングの今後の展望
機関投資家の参入
ビットコイン現物ETFの承認により、機関投資家がビットコイン市場に参入しています。これに伴い、機関投資家向けのレンディングサービスも拡大すると予想されます。
技術の進化
DeFiレンディングの技術は急速に進化しており、より安全で効率的なプロトコルが開発されています。これにより、DeFiレンディングの利用者も増加すると予想されます。
規制の明確化
各国の規制当局がビットコインレンディングに関する規制を明確にしていくことで、より安全で透明性の高い市場が形成されると期待されています。
多様なサービスの登場
従来のレンディングサービスに加えて、より多様なサービスが登場することが予想されます。例えば、ビットコインの価格変動に連動した利率を提供するサービスなど、ユーザーのニーズに合わせたサービスが開発されるでしょう。
ビットコインレンディングと他の運用方法の比較
ステーキングとの違い
ステーキングは、特定のブロックチェーンネットワークに参加し、ネットワークの検証に貢献することで報酬を得る方法です。一方、レンディングは、ビットコインを貸し出すことで利息を得る方法です。ステーキングはネットワークの運営に直接貢献する一方、レンディングはより受動的な運用方法です。
マイニングとの違い
マイニングは、ビットコインの新規発行と取引の検証に参加することで報酬を得る方法です。マイニングには高度な技術と多くの電力が必要ですが、レンディングはより簡単に始められます。
トレーディングとの違い
トレーディングは、ビットコインの価格変動を利用して利益を得る方法です。トレーディングはより高いリターンを期待できますが、リスクも高くなります。一方、レンディングはより安定した利息収入を期待できます。
まとめ
ビットコインレンディングは、保有しているビットコインを貸し出すことで利息を得る運用方法です。ビットコインを売却することなく流動性を確保でき、長期保有する資産を効率的に運用できるという大きなメリットがあります。2025年には、ビットコイン市場の拡大に伴い、レンディングサービスも多様化し、より多くの投資家に利用されるようになると予想されます。ただし、カウンターパーティリスクやスマートコントラクトのリスクなど、様々なリスクが存在することも認識する必要があります。自分のニーズとリスク許容度に合わせて、適切なサービスを選択し、慎重に運用することが重要です。
2025年版 ビットコインレンディング完全ガイド：CeFi・DeFiの仕組み、利回り、リスクと始め方をまとめました
ビットコインレンディングは、現代の暗号資産運用において、ますます重要な役割を果たすようになっています。ビットコインを保有する投資家にとって、単に資産を保管するだけでなく、それを活用して追加的なリターンを生み出す方法として、レンディングは非常に有効な選択肢です。中央集権型と分散型の両方のサービスが存在し、それぞれに異なるメリットとリスクがあります。本ガイドで紹介した情報を参考にしながら、自分の投資目標とリスク許容度に合わせて、最適なレンディングサービスを選択することが、成功する暗号資産運用の第一歩となるでしょう。
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