ステラ（XLM）徹底解説：3〜5秒で完了する高速・低コスト国際送金と今後の展望

仮想通貨ステラ（正式名称：ステラルーメン、通貨単位：XLM）は、2014年に非営利団体のステラ開発財団（Stellar Development Foundation）が開発したブロックチェーン基盤の暗号資産です。主に個人間や国際間の送金を高速かつ低コストで実現することを目的として設計されており、金融包摂や既存の金融システムとの橋渡し役として注目されています。

ステラの誕生と背景

ステラは、リップル（XRP）の共同創設者であるジェド・マケーレブ氏が、よりオープンで分散化された金融インフラを目指して独立し、2014年に設立されました。リップルと同様に送金分野に特化していますが、より個人ユーザーに焦点を当て、金融サービスを利用しにくい人々にもアクセスを提供することを目標としています。

ステラの技術的特徴

1. 独自のコンセンサスアルゴリズム「Stellar Consensus Protocol（SCP）」

ステラは、従来のプルーフ・オブ・ワーク（PoW）やプルーフ・オブ・ステーク（PoS）とは異なる独自のコンセンサスアルゴリズム「SCP」を採用しています。SCPは、ネットワーク参加者（バリデータ）が投票によって取引の承認を行う仕組みで、これにより高速かつエネルギー効率の高い取引処理が可能となっています。通常、取引の最終確定は約3〜5秒で完了し、1秒あたり最大1,000件のトランザクションを処理できるスケーラビリティを持っています。将来的にはスマートコントラクトの最適化により5,000TPSを目指しています。

2. 低コストで高速な送金

ステラの最大の強みは、送金速度の速さと手数料の安さです。ビットコインの決済時間が約10分かかるのに対し、ステラは2〜5秒程度で決済が完了します。さらに、取引手数料は非常に低く、通常1セント未満で利用できるため、個人間の少額送金や国際送金に適しています。

3. ブリッジ通貨としての役割

ステラルーメン（XLM）は、異なる通貨間の橋渡しをする「ブリッジ通貨」としても機能します。これにより、例えば米ドルからユーロへの送金など、複数の通貨をまたぐ取引をスムーズに行うことが可能です。これが国際送金の効率化に大きく貢献しています。

4. アセット発行と分散型取引所（DEX）

ステラのプラットフォーム上では、XLM以外の独自トークン（アセット）を発行することができます。発行されたアセットはネットワーク上で自由に移動でき、分散型取引所（DEX）機能も備えているため、ユーザーは中央管理者なしに資産の売買が可能です。これにより、金融サービスの多様化と透明性が促進されています。

ステラの利用事例と提携

ステラは個人間送金だけでなく、銀行や企業の国際送金ネットワークにも採用されています。特にIBMの「World Wire」などの大手企業がステラの技術を利用して国境を越えた決済システムを構築していることが知られています。これにより、従来のSWIFT送金システムよりも高速かつ低コストでの送金が実現されています。

また、ステラはDeFi（分散型金融）やNFT（非代替性トークン）分野にも進出しており、スマートコントラクトの実行環境「Soroban」のアップデートにより、これらの分野での応用が期待されています。

ステラの通貨供給と管理体制

ステラルーメンの発行量はステラ開発財団が管理しており、約300億XLMが発行されています。これらは開発費用、システム運用、ユーザー獲得のための投資などに分配され、段階的に市場に供給されています。中央管理的な側面を持ちながらも、取引の承認や記録はブロックチェーン技術により分散管理されているため、透明性と信頼性が保たれています。

ステラの将来性と展望

ステラは現在、DeFi市場の規模やシェアではトップクラスとは言えませんが、国際送金やリアルワールドアセット（RWA）のトークン化に特化した実用的なブロックチェーンとして独自の地位を築いています。金融包摂を促進し、既存の金融システムとデジタル資産の橋渡しをする役割は今後も重要視されるでしょう。

また、技術面ではスマートコントラクトの拡充やスケーラビリティの向上が進められており、これにより多様な金融サービスやアプリケーションの開発が期待されています。これらの動きは、ステラがより多くのユーザーや企業に採用される可能性を高めています。

ステラのメリットまとめ

高速な取引処理（約3〜5秒で決済完了）
非常に低い取引手数料（1セント未満）
国際送金に強みを持つブリッジ通貨機能
独自のコンセンサスアルゴリズムによるエネルギー効率の良さ
分散型取引所（DEX）やアセット発行機能の搭載
大手企業や銀行との提携による実用的な利用事例
DeFiやNFT分野への技術的拡張

ステラの注意点

ステラは中央管理的な側面も持つため、完全な分散型とは異なる点がありますが、これはネットワークの安定性や運営の透明性を高めるための設計とされています。また、暗号資産全般に言えることですが、技術の進化や規制の変化により環境が変わる可能性があるため、常に最新情報を確認することが重要です。

まとめ

ステラルーメン（XLM）は、個人間および国際送金を高速かつ低コストで実現するために設計されたブロックチェーン基盤の暗号資産です。独自のコンセンサスアルゴリズム「SCP」により、エネルギー効率の高い取引処理を実現し、金融包摂や既存金融システムとの連携を目指しています。大手企業との提携やDeFi・NFT分野への拡大も進んでおり、実用性の高いプラットフォームとして今後の発展が期待されます。