2025改正資金決済法で暗号資産規制はこう変わる:仲介業創設・コールドウォレット義務化・ステーブルコイン対策の要点

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コラム

はじめに

暗号資産市場の急速な成長に伴い、日本の金融規制環境は大きな転換期を迎えています。2025年6月に成立した資金決済法の改正は、暗号資産に関する規制体系を抜本的に見直すものであり、事業者と利用者の双方に重要な影響をもたらします。本記事では、改正資金決済法における暗号資産規制の全体像を解説し、事業者が実務上対応すべき点を整理します。

資金決済法改正の背景と目的

暗号資産をめぐる規制環境の整備が急速に進む背景には、複数の要因があります。まず、ブロックチェーン技術やWeb3関連サービスの急速な発展により、既存の規制枠組みでは対応しきれない新たなビジネスモデルが次々と登場しています。同時に、2022年に発生したFTX事件のような大規模な破綻事例は、利用者保護の重要性を改めて認識させました。

2025年の資金決済法改正は、こうした課題に対応するため、利用者保護を確保しつつイノベーションを促進するというバランスの取れたアプローチを採用しています。改正法は公布日から1年以内に施行される予定であり、事業者は早期の対応準備が求められます。

改正資金決済法の主要な変更点

電子決済手段・暗号資産サービス仲介業の創設

今回の改正における最も注目すべき変更は、新たに「電子決済手段・暗号資産サービス仲介業」という業態が創設されたことです。この仲介業は、既存の暗号資産交換業や電子決済手段等取引業とは異なる枠組みで、より緩和された登録要件の下で事業を行うことができます。

仲介業の登録を受けることで、事業者は自社のアプリケーションやサービス内で、暗号資産やステーブルコインの取引の媒介を行うことが可能になります。具体的には、ブロックチェーンゲームやアンホステッドウォレットを提供するWeb3事業者が、暗号資産交換業者と利用者をシームレスに仲介できる環境が整備されることになります。

従来は、自社サービス画面上で暗号資産の購入・売却を可能にする仕組みを提供する場合、暗号資産交換業等の登録が必要とされていました。新たな仲介業の創設により、より柔軟なビジネス展開が可能になり、デジタル金融サービスの利便性向上が期待されます。

資産の国内保有命令に関する規定の導入

FTX事件を教訓として、改正法では暗号資産交換業者および電子決済手段等取引業者に対する新たな規制が導入されました。具体的には、当局が必要と判断した場合に、これらの事業者に対して利用者の暗号資産を国内に保有することを命じる権限が付与されました。

この規定により、暗号資産の国外流出を防止し、利用者資産の安全性を確保する体制が強化されます。事業者は、この国内保有命令に対応できる体制整備を進める必要があります。

利用者資産の管理方法の強化

改正法では、利用者の暗号資産を原則としてコールドウォレット等で管理することが義務付けられました。コールドウォレットは、インターネットに接続されていないオフライン環境で暗号資産を保管する方式であり、ハッキングやサイバー攻撃のリスクを大幅に低減できます。

この規定により、利用者資産の流出リスクが低い管理方法の採用が法的に強制されることになり、業界全体のセキュリティ水準の向上が期待されます。

行為規制の整備と利用者保護

情報提供義務と安全管理

改正法では、電子決済手段・暗号資産サービス仲介業者に対して、複数の行為規制が課せられます。まず、事業者は利用者に対して、暗号資産や電子決済手段に関する適切な情報を提供する義務を負います。これには、商品の特性、リスク、手数料等の重要な情報が含まれます。

同時に、事業者は利用者情報の安全管理を厳格に実施する必要があります。個人情報の漏洩防止、システムセキュリティの強化、定期的な監査等の措置が求められます。

委託先管理の強化

多くの暗号資産事業者は、システム開発やカストディ機能等の一部業務を外部事業者に委託しています。改正法では、こうした委託先に対する管理責任が明確化されました。事業者は、委託先の選定基準の設定、定期的な監査、契約条項の整備等を通じて、委託先の適切な管理を実施する必要があります。

暗号資産の法的位置付けの見直し

決済手段から金融商品への転換

現在、暗号資産は資金決済法上の「決済手段」として主に規制されていますが、今後の規制見直しの議論では、暗号資産を金融商品取引法上の「金融商品」として定義することが検討されています。この転換は、暗号資産を株式や証券、FXといった他の金融商品と同列に扱うことを意味します。

この見直しにより、暗号資産投資に対する規制が強化される一方で、市場の透明性と利用者保護が向上することが期待されます。ただし、規制の複雑化を避ける観点から、暗号資産に係る規制を資金決済法から削除し、金融商品取引法に一本化することも検討されています。

有価証券性を持つ暗号資産の規制

暗号資産の中には、有価証券と同様の性質を持つものが存在します。改正法では、こうした暗号資産が金商法の規制対象であることが明確化されました。これにより、発行者の情報開示義務、取引所の登録要件、投資家保護の仕組み等が適用されることになります。

デリバティブ取引と不公正な行為への対応

デリバティブ取引規制の整備

暗号資産を用いた新たな取引形態に対応するため、改正法ではデリバティブ取引に係る規制が整備されました。レバレッジ取引やオプション取引等の複雑な取引形態に対して、適切なリスク管理と利用者保護の枠組みが構築されます。

不公正な行為の禁止

市場の健全性を確保するため、改正法では複数の不公正な行為が禁止されます。フロントランニング(事前情報を利用した不公正な取引)、作為的相場形成取引、特定少数銘柄の一斉・過度の勧誘等が規制対象となります。これらの規制により、市場操縦や詐欺的な投資勧誘から利用者を保護する体制が強化されます。

ステーブルコインに関する規制

ステーブルコインの定義と規制枠組み

ステーブルコインは、法定通貨やその他の資産に価値が連動するよう設計された暗号資産です。改正法では、ステーブルコインを「電子決済手段」として定義し、専門的な規制枠組みを構築しています。

ステーブルコイン発行体に対しては、準備資産の適切な保有、定期的な監査、金融インテグリティ(不正利用を防ぐ仕組み)に関する要件が課せられます。これにより、ステーブルコインの信頼性と安定性が確保されることになります。

ステーキングとレンディングの規制

暗号資産を預けて報酬を得るステーキング、および暗号資産の貸付・借入(レンディング・ボローイング)といった新たなサービスも、改正法の規制対象に含められました。これらのサービスに対しては、利用者保護と市場の健全性確保の観点から、適切な規制が適用されます。

国際的な規制動向との調和

MiCAとの整合性

欧州連合では、Markets in Crypto-Assets Regulation(MiCA)が全面適用されており、暗号資産に関する包括的な規制枠組みが構築されています。日本の改正資金決済法は、こうした国際的な規制動向を参考にしながら、日本の市場特性に適応した規制体系を構築しています。

AML規制の近代化

暗号資産を用いたマネーロンダリングやテロ資金供与のリスクに対応するため、改正法ではAML(アンチマネーロンダリング)規制が近代化されました。事業者は、顧客確認(KYC)、取引監視、疑わしい取引の報告等の義務を厳格に実施する必要があります。

事業者の実務対応

登録要件の確認と申請準備

既存の暗号資産交換業者や電子決済手段等取引業者は、改正法の施行に向けて、自社の事業内容が新たな規制枠組みにどのように適用されるかを確認する必要があります。新たに仲介業の登録を検討する事業者は、登録要件の確認と申請書類の準備を進める必要があります。

システムとプロセスの整備

改正法で義務付けられた資産管理方法、情報提供、安全管理等に対応するため、事業者はシステムとプロセスの整備を進める必要があります。特に、コールドウォレット等による資産管理体制の構築、利用者情報の安全管理体制の強化、委託先管理体制の整備が重要です。

コンプライアンス体制の強化

改正法で新たに禁止される行為や課せられる義務に対応するため、事業者はコンプライアンス体制を強化する必要があります。社員教育、内部監査、規制動向の監視等を通じて、法令遵守体制を構築することが重要です。

利用者にとってのメリット

資産保護の強化

改正法により、利用者の暗号資産がより安全に管理されることになります。コールドウォレット管理の義務化、国内保有命令の権限付与、委託先管理の強化等により、利用者資産の流出リスクが大幅に低減されます。

情報提供の充実

事業者に対する情報提供義務の強化により、利用者はより詳細で正確な情報に基づいて投資判断を行うことができるようになります。これにより、詐欺的な投資勧誘から利用者を保護する体制が強化されます。

市場の透明性向上

不公正な行為の禁止、開示規制の整備等により、暗号資産市場の透明性が向上します。これにより、市場参加者がより公正な取引環境で活動することができるようになります。

今後の規制動向

規制の一本化に向けた検討

現在、暗号資産に係る規制を資金決済法から削除し、金融商品取引法に一本化することが検討されています。この見直しにより、暗号資産が他の金融商品と同等の規制体系の下で扱われることになり、市場の成熟度が高まることが期待されます。

国際的な規制調和の進展

G20やFATFといった国際的な枠組みでは、暗号資産に関する規制の調和が進められています。日本の改正資金決済法も、こうした国際的な動向と整合性を保ちながら、さらに進化していくことが予想されます。

まとめ

2025年の資金決済法改正は、暗号資産市場の急速な成長と規制環境の国際的な変化に対応するための包括的な改正です。新たに創設された電子決済手段・暗号資産サービス仲介業、強化された資産管理規制、不公正な行為の禁止等により、利用者保護とイノベーション促進のバランスが取られています。事業者は、改正法の施行に向けて、登録要件の確認、システムとプロセスの整備、コンプライアンス体制の強化を進める必要があります。一方、利用者にとっては、より安全で透明性の高い暗号資産取引環境が実現することが期待されます。

2025改正資金決済法で暗号資産規制はこう変わる:仲介業創設・コールドウォレット義務化・ステーブルコイン対策の要点をまとめました

資金決済法の改正により、暗号資産に関する規制体系は大きく進化しています。電子決済手段・暗号資産サービス仲介業の創設は、Web3事業者やブロックチェーン関連企業に新たなビジネス機会をもたらします。同時に、資産の国内保有命令、コールドウォレット管理の義務化、不公正な行為の禁止等により、利用者保護が大幅に強化されます。事業者と利用者の双方が、改正法の内容を正確に理解し、適切に対応することが、暗号資産市場の健全な発展につながるのです。

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