イーサリアム報酬とは
イーサリアムの報酬システムは、2022年9月に実施されたアップグレード「The Merge(ザ・マージ)」によって大きく変わりました。それまでのプルーフ・オブ・ワーク(PoW)というマイニング方式から、プルーフ・オブ・ステーク(PoS)というステーキング方式へと移行したのです。この変更により、イーサリアムを保有する個人投資家や機関投資家が、インカムゲインを得られる新しい機会が生まれました。
イーサリアムのステーキング報酬とは、保有しているイーサリアム(ETH)をブロックチェーンネットワークに預け入れることで、ネットワークの維持や取引の承認に貢献した対価として受け取る報酬のことです。従来のマイニング報酬とは異なり、膨大な計算力を必要としないため、電力消費量が大幅に削減されるという利点があります。
ステーキング報酬の種類と仕組み
イーサリアムのステーキング報酬は、大きく分けて2つのカテゴリーに分類されます。それぞれの報酬がどのような形で発生するのかを理解することは、ステーキングの全体像を把握する上で非常に重要です。
コンセンサスレイヤーの報酬
コンセンサスレイヤーの報酬は、ビーコンチェーンから得られるもので、複数の種類があります。まず、「Attestation Reward(証明報酬)」があります。これは1Epoch(約6.4分)ごとに必ず獲得できる報酬で、バリデーターがブロックチェーンの状態を正しく証明することで得られます。
次に、「Block Proposal Reward(ブロック提案報酬)」があります。これはバリデーターが新しいブロックを提案する権利を得たときに獲得できる報酬です。バリデーター数が約109万人いる場合、ブロック提案者に選ばれるのは約152日に1回程度の頻度となります。
さらに、「Sync Committee Reward(同期委員会報酬)」という報酬もあります。これは同期委員会に選ばれたバリデーターが受け取る報酬で、ネットワークの同期を助ける役割を果たします。
これらのコンセンサスレイヤーで受け取った報酬は、約9.2日に1回「Sweep」されて、実行レイヤーに送られます。
実行レイヤーの報酬
実行レイヤーの報酬は、ブロック提案者に選ばれたときに得られるものです。具体的には、生成したブロックに含まれるトランザクション手数料(ガス代)と、MEV(Maximal Extractable Value)が含まれます。
ガス代はブロックごとに異なるため、報酬額も変動します。ネットワークの利用が活発な時期には、ガス代が高くなり、より多くの報酬を獲得できる可能性があります。
報酬やペナルティは1epoch(384秒)ごとに発生するため、継続的に報酬が積み重なっていく仕組みになっています。
ステーキング報酬の利回り
イーサリアムのステーキング報酬率は、年間3%強程度が目安とされています。これは担保としてロックしているETHに対する年率となります。暗号資産全体で見ると、ステーキング報酬率は年間1%から20%程度の幅があり、イーサリアムはその中でも比較的安定した利回りを提供しています。
報酬率は、ネットワークに参加しているバリデーターの総数や、ネットワークの利用状況によって変動します。バリデーターが増えると報酬が分散されるため利回りが低下し、バリデーターが減ると利回りが上昇する傾向があります。
ステーキングの方法
イーサリアムのステーキングには、複数の方法があります。自分の状況や技術的な知識レベルに応じて、最適な方法を選択することができます。
個人でのステーキング
個人でステーキングを行う場合、バリデーターとして直接ネットワークに参加します。この方法では、プロトコルから直接報酬を獲得でき、中間マージンを取られることがありません。また、クライアントとハードウェアの選択が自由にでき、秘密鍵や引出し鍵を自身で管理できるという利点があります。
ただし、一定の技術的な知識と継続的な稼働の手間が必要になります。バリデーターとして機能するには、ノードを運用し、ネットワークに常に接続している必要があります。
ステーキングサービスの利用
個人でのステーキングが難しい場合、取引所やプラットフォームが提供するステーキングサービスを利用することができます。例えば、GMOコインなどの暗号資産取引所では、イーサリアムを保有するだけでステーキング報酬を受け取ることができるサービスを提供しています。
このサービスを利用する場合、ユーザーは暗号資産を取引所に預け入れるだけで、複雑な技術的な作業を行う必要がありません。取引所がバリデーター運用の全てを担当し、報酬を配分してくれます。
ステーキングのメリット
イーサリアムのステーキングには、複数のメリットがあります。
まず、売買益以外の収益源を得られることです。従来、暗号資産で収益を上げるには、購入と売却の差である売買益を狙う必要がありました。しかし、ステーキングにより、保有しているだけで追加の報酬を獲得できるようになりました。
次に、ネットワークの堅牢性、分散性、安全性に貢献できることです。バリデーターとしてステーキングに参加することで、イーサリアムネットワーク全体の安定性向上に直接貢献できます。
さらに、個人でステーキングを行う場合、秘密鍵や引出し鍵を自身で管理できるため、資産の完全な所有権を保持できます。
ステーキングの対象となる暗号資産
イーサリアムの他にも、複数の暗号資産がステーキングに対応しています。例えば、ソラナ(SOL)やポルカドット(DOT)、コスモス(ATOM)などが挙げられます。
これらの暗号資産の中には、イーサリアムよりも高い利回りを提供しているものもあります。例えば、DOTは年率17.9%、ATOMは年率15.6%といった高水準の報酬率を実現しています。ただし、利回りが高いほど、ネットワークのリスクが高い傾向にあるため、投資判断の際には注意が必要です。
ステーキング報酬の税務上の扱い
ステーキングで得た報酬は、暗号資産の所得として税務申告の対象となります。報酬を受け取った時点での時価で所得が計算され、その後の価格変動も含めて税務申告を行う必要があります。
正確な税務処理を行うためには、ステーキング報酬の受取日時と受取時の時価を記録しておくことが重要です。
イーサリアムネットワークへの貢献
ステーキングに参加することは、単に報酬を得るだけではなく、イーサリアムネットワーク全体の発展に貢献することになります。バリデーターが増えることで、ネットワークの分散性が向上し、より多くのノードが独立して動作することになります。
これにより、ネットワークの検閲耐性が高まり、単一の管理者による支配を受けにくくなります。また、ネットワークの安全性も向上し、攻撃に対する耐性が強化されます。
ステーキングと他の資産運用方法の比較
暗号資産の資産運用方法には、ステーキング以外にもレンディングという方法があります。レンディングとは、他のユーザーに暗号資産を貸し出し、その利息を受け取る方法です。レンディング利息は、プラットフォーム上での取引手数料や、借り手が支払う金利から支払われます。
ステーキングとレンディングの大きな違いは、報酬の源泉です。ステーキングはプロトコルレベルで新しいトークンが生成されることで報酬が発生するのに対し、レンディングは既存のトークンが借り手から貸し手に移動することで報酬が発生します。
また、ステーキングはネットワークの維持に直接貢献する行為であるのに対し、レンディングは市場メカニズムに基づいた資金の融通です。
ステーキング報酬の受け取り方法
ステーキング報酬の受け取り方法は、ステーキングの参加方法によって異なります。個人でバリデーターとして参加している場合、報酬はウォレットに直接送付されます。一方、取引所のステーキングサービスを利用している場合、報酬は取引所のアカウント内に自動的に加算されます。
取引所のサービスを利用する場合、報酬の受け取りは自動的に行われるため、ユーザーが特別な操作を行う必要はありません。
イーサリアムの技術的背景
イーサリアムは、単なる暗号資産ではなく、スマートコントラクトを実行できるプラットフォームです。イーサリアム上では、独自のトークン規格「ERC」を採用しており、誰でも新しいコインを作成することができます。
このプラットフォーム上で様々なアプリケーションが動作しており、それらのアプリケーションがイーサリアムネットワークを利用する際には、ガス代と呼ばれる手数料が発生します。このガス代がバリデーターの報酬の一部となるため、ネットワークの利用が活発であるほど、バリデーターの報酬が増加する可能性があります。
ステーキングの今後の展望
イーサリアムのステーキングは、ネットワークの安全性と効率性を向上させるための重要なメカニズムとして、今後も発展していくと考えられます。バリデーターの数が増えることで、ネットワークの分散性がさらに向上し、より堅牢なシステムが構築されるでしょう。
また、ステーキングサービスの多様化により、より多くの人々がステーキングに参加しやすくなることが期待されます。技術的な知識がない人でも、簡単にステーキング報酬を得られる環境が整備されることで、イーサリアムネットワークへの参加がより広がるでしょう。
まとめ
イーサリアム報酬は、2022年のアップグレード以降、ステーキングを通じて得られるようになりました。コンセンサスレイヤーと実行レイヤーの2つの報酬源から構成され、年間3%強程度の利回りが期待できます。個人でのバリデーター運用か、取引所のステーキングサービスの利用かを選択でき、どちらの方法でも報酬を獲得することができます。ステーキングに参加することで、単に報酬を得るだけでなく、イーサリアムネットワークの安全性と分散性の向上に貢献することができます。
イーサリアム報酬完全ガイド:ステーキングの仕組み・利回り・受け取り方をわかりやすくをまとめました
イーサリアムの報酬システムは、プルーフ・オブ・ステーク方式への移行により、保有者にとって新しい収益機会をもたらしました。ステーキング報酬は、ネットワークの維持と取引の承認に貢献した対価として支払われるもので、複数の報酬源から構成されています。個人でのバリデーター運用から取引所サービスの利用まで、様々な参加方法が用意されており、技術的な知識レベルに応じた選択が可能です。イーサリアムのステーキングに参加することで、安定した報酬を得ながら、同時にネットワークの発展に貢献できる、有意義な資産運用方法として注目されています。



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