結論から言うと、2026年4月時点でイーサリアムは「オワコン」ではない。DeFi市場のTVL(預かり資産)は約700億ドルで全体の65〜68%を占有し、現物ETFの累計純流入額は約116億ドルに達している。ただし、価格は2,000ドル前後と低迷しており、「オワコン化するシナリオ」もゼロではない。本記事では、データと構造の両面から読者自身が判断できる材料を提示する。
イーサリアムが「オワコン」と言われる理由
「イーサリアム オワコン」と検索する人が増えている背景には、以下の要因がある。
- 価格の長期低迷:2021年末の最高値(約4,800ドル)から半値以下の水準が続いている。2026年4月時点で約2,000ドル前後と、回復の兆しが見えにくい
- ガス代(手数料)問題:メインネットでの取引手数料は改善されたものの、他チェーンと比較すると依然として高い場面がある
- 競合チェーンの台頭:高速処理を売りにするチェーンが台頭し、DEX取引量やNFT市場でシェアを奪われている
- L2への分散:ユーザーやアプリがL2(レイヤー2)に移行したことで、メインネットの「空洞化」が指摘されている
- ETH/BTC比率の低下:ビットコインに対するイーサリアムの相対的な価値が下落トレンドにある
これらは事実を含む指摘だが、一面的な見方でもある。次のセクションでデータを確認しよう。
データで見るイーサリアムの現在地【2026年最新】
感覚ではなく数値で現状を把握することが重要だ。
| 指標 | 数値(2026年初頭時点) | 補足 |
|---|---|---|
| DeFi TVL | 約700億ドル | 全DeFi市場の約65〜68% |
| L2ブリッジTVL | 460億ドル超 | L2含めた総合的なエコシステム規模 |
| 現物ETF累計純流入 | 約116億ドル | 2024年7月の取引開始から約1年半 |
| ETH価格 | 約2,000ドル(34万円台) | 2026年4月時点 |
| 主要L2合計TVL | 約90億ドル | Arbitrum・Optimism・Base等の合算 |
注目すべきは、価格が低迷しているにもかかわらず、TVLとETF資金流入は堅調に推移している点だ。つまり「使われている」し「機関投資家は買っている」が、投機的な価格上昇には至っていない状態といえる。
イーサリアムがオワコンではない根拠
1. 現物ETFの承認と機関投資家の参入
2024年5月にSEC(米証券取引委員会)がイーサリアム現物ETFを承認。取引開始初日の売買代金は1,500億円を超えた。2026年2月時点で累計約116億ドルの純流入があり、大手運用会社のETHファンドは約150万ETH(40億ドル超)を保有している。さらに、ステーキング付きETFの申請も進んでおり、承認されれば追加の資金流入が期待される。
2. Pectraアップグレードの完了と次の大型更新
2025年5月にPectra(Prague-Electra)アップグレードがメインネットで稼働。バリデータの上限額が64倍に引き上げられ、L2向けのblob容量が2倍になった。これは「Merge以来最も重要なハードフォーク」と評価されている。
2026年にはさらに2つの大型アップグレードが予定されている。
- Glamsterdam(2026年中頃):Verkle Trees導入によるステートレスクライアントの実現、アカウント抽象化の強化
- Heze-Bogota(2026年末):TPSの大幅向上とプライバシー・セキュリティの改善
3. DeFi市場での圧倒的シェア
TVL約700億ドルは2位以下を大きく引き離している。企業やプロトコルがスマートコントラクト基盤として採用する際、セキュリティの実績とエコシステムの厚みからイーサリアムが選ばれ続けている。
競合チェーンとの比較:本当に負けているのか?
「他のチェーンに抜かれた」という声は多いが、定量データで見ると景色が変わる。
| 指標 | イーサリアム(L1+L2) | 主要競合チェーン |
|---|---|---|
| DeFi TVL | 約700億ドル(65%超) | 2位チェーン:約93億ドル |
| TVS(総保全資産) | 約405億ドル(L2) | 個別L2と同等規模 |
| TPS(理論値) | L2含めて数千TPS | 数万TPS(L1単体) |
| 強み | セキュリティ・機関採用・開発者数 | 処理速度・低手数料・リテール活発 |
競合チェーンはリテール(個人取引)の活発さと手数料の安さで優位に立つ。一方、イーサリアムはL2を含めた「セキュリティ保証付きの資産保管基盤」として機関投資家に選ばれている。これは勝ち負けというより役割の違いだ。
ただし、L2の成長がイーサリアムL1の手数料収入を薄める「パラサイトチェーン問題」は構造的な課題として残る。
オワコン化するシナリオ vs 復活するシナリオ
オワコン化が現実になる条件
- L2がイーサリアムから独立:主要L2がセキュリティを自前で確保し始め、ETHの需要が消失する
- ETF資金の流出が継続:機関投資家がETHから撤退し、他の暗号資産ETFに資金が移動する
- アップグレードの遅延・失敗:GlamsterdamやHeze-Bogotaが延期または技術的問題を起こし、ロードマップへの信頼が失墜する
- 規制リスク:主要国がETHをセキュリティ(有価証券)に分類し、取引所での取り扱いが制限される
復活(価格回復)が起こる条件
- ステーキングETFの承認:利回り付きETFが機関投資家の大規模な新規参入を呼ぶ
- Glamsterdamの成功:ステートレスクライアントの実現でノード運用コストが下がり、分散性がさらに向上する
- RWA(実物資産トークン化)の拡大:国債・不動産のトークン化基盤としてイーサリアムが標準になる
- マクロ環境の改善:利下げサイクルの進行によりリスク資産全体に資金が戻る
どちらのシナリオも「あり得る」のが現状だ。重要なのは、自分がどちらの条件をより可能性が高いと判断するかである。
仮想通貨メディアが「オワコン」と煽る構造的理由
「イーサリアム オワコン」という記事が量産される背景には、メディア側のビジネスモデルがある。
- 不安を煽るタイトルはクリック率が高い:「オワコン」「ヤバい」「終わり」といったネガティブワードは検索ボリュームが大きく、PV(ページビュー)を稼ぎやすい
- 結論は常に「でも買い」:記事の結末は取引所の口座開設アフィリエイトリンクに誘導する構成が大半。つまり「オワコンかも→でも将来性ある→今すぐ口座開設」という導線がセットになっている
- 両建てで記事を量産:「オワコン」記事と「将来性あり」記事を同じサイトで公開し、どちらの検索意図も拾う手法が常態化している
読者として意識すべきこと:記事の結論部分に特定の取引サービスへの誘導リンクがある場合、その記事の中立性には一定の割引が必要だ。データの出典が明記されているか、主張と根拠が対応しているかを確認する習慣を持とう。
イーサリアムの今後の価格予想【2026〜2030年】
| 年 | 予想レンジ(USD) | 主な根拠 |
|---|---|---|
| 2026年 | 3,000〜7,500ドル | Glamsterdamアップグレード、ETF資金流入の継続 |
| 2027年 | 5,600〜15,000ドル | 仮想通貨市場サイクルの上昇期、RWA市場拡大 |
| 2028年 | 8,600〜25,000ドル | L2エコシステムの成熟、機関採用の本格化 |
| 2030年 | 8,000〜40,000ドル | 大手金融機関の長期目標値(幅が非常に大きい) |
注意点:上記はあくまで各種分析機関や専門家パネルの予測を集約したものであり、保証ではない。特に2028年以降の予測は前提条件の不確実性が極めて高い。「AIが予測した価格」として紹介されることも多いが、その多くは過去データの外挿に過ぎない点を理解しておこう。
結論:今イーサリアムを買うべきか?判断フレームワーク
最終的な判断は読者自身が行うべきだが、以下の3つの軸で整理すると考えやすい。
軸1:エコシステムの健全性
- TVLは維持・拡大しているか → 現状YES(700億ドル、シェア65%超)
- 開発アクティビティは活発か → 現状YES(2026年に2つの大型アップグレード予定)
- 機関投資家は参入しているか → 現状YES(ETF累計116億ドル流入)
軸2:リスク要因の評価
- L2独立リスクは顕在化しているか → 現時点では顕在化していない
- 規制リスクは高まっているか → ETF承認済みで短期的リスクは低下
- 競合に致命的なシェアを奪われているか → リテール層では一部流出、機関層では維持
軸3:自分の投資前提の確認
- 投資期間:1年未満なら価格変動リスクが大きい。3年以上の視点なら技術ロードマップの進展を評価できる
- リスク許容度:元本の50%以上の下落に耐えられるか
- 情報収集の継続:四半期ごとにTVL・ETF資金フロー・アップグレード進捗を自分で確認できるか
「オワコンか否か」は二択の問題ではない。どの条件が満たされたら自分は買う(または売る)のかを事前に決めておくことが、煽りに振り回されない最良の方法だ。



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