はじめに
2018年は、ビットコインおよび暗号資産市場にとって大きな転機となった年です。前年の2017年に記録した史上最高値から一転して、2018年を通じて価格は大幅に下落しました。この年の出来事は、暗号資産市場の成熟度を試す重要な局面となり、その後の市場発展に大きな影響を与えることになりました。本記事では、2018年のビットコインの価格推移、市場環境、そして業界全体に与えた影響について詳しく解説します。
2018年のビットコイン価格推移の概要
2018年のビットコイン相場は、前年の上昇トレンドから一転して、年間を通じて下落が続きました。年初の1月には約166万円から200万円台で取引が開始されましたが、その後の推移は投資家にとって厳しいものとなりました。1月5日には一時的に200万円台に達したものの、月末にかけて大幅に下落し、1月末時点では約107万円まで値を下げています。
年間を通じた最高値は1月に記録された約207万円で、最安値は12月15日に記録された約36万円から35万円台となりました。この約82%の下落率は、市場参加者に大きな衝撃を与えました。年初から年末にかけての下落幅は、暗号資産市場がいかに変動性の高い市場であるかを示す象徴的な数字となっています。
2018年前半:下落圧力の強まり
2018年の前半は、複数の外部要因がビットコイン価格に下落圧力をもたらしました。特に注目すべきは、大手SNSプラットフォームによる暗号資産関連広告の掲載禁止です。1月にはFacebookが暗号資産の広告掲載を禁止することを発表し、その時点でのビットコイン価格は約110万円でした。この決定は市場に大きな心理的影響を与えました。
その後、3月にはGoogleが同様に暗号資産関連の広告掲載を禁止することを発表しました。この時期のビットコイン価格は約95万円まで下落していました。さらに同じ3月には、Twitterも暗号資産の広告掲載禁止を発表し、その時点での価格は約90万円となっていました。これらの大手プラットフォームによる相次ぐ広告禁止は、暗号資産全般に対する信用低下につながり、市場全体に悪影響を及ぼしました。
前年の2017年には「ビットコインバブル」と呼ばれる投機的な価格上昇が見られましたが、2018年はその反動が強く出た形となりました。中国政府による仮想通貨規制も市場に影響を与え、投資家のセンチメントは大きく悪化していきました。
2018年中盤:底値圏での推移
2018年の中盤から後半にかけて、ビットコイン価格は比較的低い水準での推移が続きました。一時的な反発局面もありましたが、大きなトレンド転換には至りませんでした。市場参加者の間では、暗号資産に対する懐疑的な見方が強まり、取引量も減少傾向にありました。
この時期、日本国内でも暗号資産に対する認識が大きく変わりました。前年の1月に発生したコインチェックからの不正流出事件(被害総額580億円相当)の影響が依然として残っており、暗号資産は「危険なもの」という認識が広まっていました。規制当局も市場の監視を強化し、業界全体が調整局面にありました。
2018年後半:わずかな回復の兆し
2018年の10月中旬から11月にかけて、ビットコイン価格に回復の兆しが見られました。10月中旬になると、ビットコインの価格は再び上昇トレンドに入り、11月5日には150万円台に復帰しました。さらに11月30日には、2018年1月5日以来となる200万円台を記録し、市場参加者に希望をもたらしました。
この回復は、市場心理の改善と、機関投資家による関心の高まりが背景にあったと考えられます。また、12月17日には米CME(シカゴ・マーカンタイル取引所)がビットコイン先物取引を開始することが発表され、これが市場に前向きな影響を与えました。先物市場の開設は、ビットコインがより正規化された金融商品として認識されるようになったことを示す重要な出来事でした。
2018年末:再び下落へ
2018年の年末にかけて、ビットコイン価格は再び下落圧力に直面しました。11月末の200万円台からの上昇は続かず、12月にかけて価格は急速に低下していきました。12月15日には、2018年の最安値となる約36万円を記録し、年初の約207万円からの下落幅は実に82%に達しました。
この急速な下落は、市場参加者の間での利益確定売りと、年末に向けた資金調達の動きが重なったことが原因と考えられます。また、グローバルな経済環境の不確実性も市場心理に悪影響を与えていました。年末時点でのビットコイン価格は、年初の価格から見ると大幅な下落となり、2018年全体を通じた厳しい相場環境を象徴していました。
2018年の暗号資産市場全体の状況
2018年度のビットコインを含む暗号資産市場全体を見ると、市場規模は大きく縮小しました。2018年度末時点での暗号資産全体の時価総額は約15兆3500億円で、前年度比で大幅に減少しています。このうちビットコインが占める割合は約50%で、依然として市場の中心的な存在でした。
ビットコイン以外の主要な暗号資産も同様に価格下落の影響を受けました。イーサリアムの時価総額は前年度比39%、ライトコインは45%、リップルは66%、ビットコインキャッシュは30%の減少となっています。市場全体が調整局面にあり、投機的な資金が流出していく状況が続いていました。
一方で、取引量の面では異なる動きが見られました。ビットコインの取引量は前年度比で135%の増加となり、価格下落の中でも取引活動は活発に行われていたことがわかります。これは、市場参加者が価格変動を利用した短期的な取引を行っていたことを示唆しています。
2018年の主要な出来事と市場への影響
2018年を通じて、ビットコイン市場に影響を与えた主要な出来事が複数ありました。年初のSNS大手による広告掲載禁止は、市場心理に大きな悪影響を与えました。これらの企業は、暗号資産関連の詐欺的な広告が増加していることを理由に、広告掲載の禁止を決定しました。
また、規制当局による監視強化も市場環境に影響を与えました。日本国内では、前年のコインチェック事件を受けて、暗号資産交換業に対する規制が強化されました。これにより、市場の透明性と安全性は向上しましたが、短期的には市場参加者の不安感を増加させました。
一方で、12月のCME先物取引開始は、市場の正規化を示す重要な出来事でした。これにより、機関投資家がビットコインに投資する道が開かれ、市場の成熟度が高まることが期待されました。先物市場の開設は、ビットコインが単なる投機対象から、より広い投資対象へと進化していく過程を示していました。
2018年の教訓と市場への長期的な影響
2018年のビットコイン市場の下落は、暗号資産市場にとって重要な教訓をもたらしました。前年の投機的なバブルが崩壊し、市場参加者は暗号資産の本質的な価値について改めて考え直すようになりました。この調整局面を通じて、市場はより健全な基盤の上に構築されていくことになります。
2018年の経験は、暗号資産市場が成熟していく過程における必要な調整であったと言えます。市場参加者は、短期的な価格変動に一喜一憂するのではなく、長期的な視点を持つようになりました。また、規制当局と市場参加者の間での対話が進み、より透明性の高い市場環境が構築されていくきっかけとなりました。
2018年末から2019年にかけて、市場は徐々に回復の兆しを見せ始めます。2018年の厳しい相場環境を乗り越えた投資家や企業は、より強固な基盤の上で次のステップへと進んでいくことになりました。暗号資産市場の発展において、2018年は「冬の時代」と呼ばれることもありますが、この時期を通じて市場は確実に成熟していったのです。
2018年のビットコイン市場の特徴
2018年のビットコイン市場の最大の特徴は、その高い変動性と市場心理の急速な変化です。年初の200万円台から年末の36万円台への下落は、市場参加者の期待値の大きな変化を反映しています。この時期、ビットコインの価格は、ファンダメンタルズよりも市場心理に大きく左右されていました。
また、2018年は暗号資産市場における「情報の非対称性」が顕著であった時期でもあります。市場参加者の間での知識格差が大きく、一部の投資家が市場の動きを主導していました。しかし、年を通じた調整過程を通じて、市場全体の情報透明性は徐々に向上していきました。
さらに、2018年は暗号資産市場における規制の枠組みが本格的に構築され始めた時期でもあります。各国の規制当局が市場監視を強化し、業界標準の確立に向けた動きが加速しました。これにより、市場の信頼性が向上し、長期的には市場の発展につながることになりました。
2018年のビットコイン市場から学べること
2018年のビットコイン市場の経験から、複数の重要な教訓を引き出すことができます。第一に、市場心理の変化がいかに大きな価格変動をもたらすかということです。前年のバブルから一転して下落相場となった2018年は、市場参加者の期待値の変化がいかに急速であるかを示しています。
第二に、外部要因(規制、大手企業の決定など)がいかに市場に影響を与えるかということです。SNS大手による広告掲載禁止や、中国政府による規制強化は、市場全体に大きな悪影響を与えました。市場参加者は、こうした外部要因に対する感度を高める必要があります。
第三に、市場の正規化と成熟化の重要性です。2018年末のCME先物取引開始や、規制当局による監視強化は、市場の信頼性向上につながりました。長期的には、こうした正規化の動きが市場の安定性と成長性を高めることになります。
2018年のビットコイン市場と今後の展開
2018年のビットコイン市場の下落は、短期的には市場参加者に大きな損失をもたらしました。しかし、長期的には市場の成熟化と正規化を促進する重要な局面であったと言えます。2018年を通じた調整過程を経て、市場はより健全な基盤の上に構築されていくことになりました。
2018年末から2019年にかけて、市場は徐々に回復の兆しを見せ始めます。市場参加者は、2018年の経験から学び、より慎重で長期的な視点を持つようになりました。また、機関投資家の参入が進み、市場の流動性と安定性が向上していくことになります。
2018年のビットコイン市場は、暗号資産市場の発展過程における重要な転換点であったと言えます。この年の経験を通じて、市場は投機的な段階から、より成熟した段階へと移行していくことになったのです。
まとめ
2018年のビットコイン市場は、前年の投機的なバブルから一転して、年間を通じて大幅な下落が続いた厳しい相場環境でした。年初の約207万円から年末の約36万円への下落は、市場参加者に大きな衝撃を与えました。SNS大手による広告掲載禁止や、中国政府による規制強化など、複数の外部要因が市場に悪影響を与えました。一方で、12月のCME先物取引開始は、市場の正規化を示す重要な出来事となりました。2018年の経験を通じて、暗号資産市場は投機的な段階から、より成熟した段階へと移行していくことになったのです。
2018年のビットコイン激震:200万円台から36万円へ、下落の原因と市場が得た教訓をまとめました
2018年のビットコイン市場は、暗号資産市場の発展過程における重要な転換点となりました。前年の投機的なバブルから一転して下落相場となった2018年は、市場参加者に多くの教訓をもたらしました。年初から年末にかけての大幅な価格下落、複数の外部要因による市場心理の悪化、そして年末の先物取引開始による市場の正規化など、2018年を通じた様々な出来事が、その後の市場発展の基盤を形成することになったのです。2018年の経験は、暗号資産市場がいかに変動性の高い市場であるか、そして市場の成熟化がいかに重要であるかを示す象徴的な事例となっています。



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