イーサリアム(ETH)の総発行枚数はどれくらい?基本情報を整理
イーサリアム(ETH)は、時価総額でビットコインに次ぐ第2位の暗号資産として広く知られています。しかし、その総発行枚数がどのくらいなのか、正確に把握している方は意外と少ないかもしれません。
2026年4月時点で、イーサリアムの総発行枚数は約1億2,069万ETHです。ビットコインの発行上限が2,100万BTCと明確に決まっているのとは対照的に、イーサリアムには発行上限が設定されていません。これはイーサリアムが2015年のローンチ時から採用している設計方針であり、理論上は無制限に新しいETHが発行される仕組みになっています。
ただし「上限がない=際限なく増え続ける」というわけではありません。2021年のEIP-1559導入や2022年のPoS(プルーフ・オブ・ステーク)移行により、イーサリアムの供給量は高度にコントロールされるようになりました。この記事では、イーサリアムの総発行枚数に関する最新情報から、バーン(焼却)メカニズムやステーキングの影響まで、幅広く解説していきます。
イーサリアムの発行上限がない理由とは
暗号資産の世界では、ビットコインの「発行上限2,100万枚」という設計が広く知られていますが、イーサリアムはあえて発行上限を設けていません。これは設計ミスではなく、明確な意図に基づいた判断です。
ネットワークの持続的な運用を重視した設計
イーサリアムは単なる送金手段ではなく、スマートコントラクトやDApps(分散型アプリケーション)を実行するためのプラットフォームです。ネットワークを安全に維持するためには、バリデータ(検証者)への報酬を継続的に支払い続ける必要があります。
もし発行上限を設定した場合、将来的にバリデータへの新規発行報酬がゼロになり、ネットワークのセキュリティが低下するリスクがあります。イーサリアムでは、セキュリティ維持に必要な最小限の新規発行を続けることで、長期的なネットワークの安定を優先しているのです。
ビットコインとの根本的な設計思想の違い
ビットコインは「デジタルゴールド」として希少性を最大の価値とする設計です。約4年に1度の「半減期」によって新規発行量を段階的に減らし、最終的にはゼロにするという仕組みを採用しています。
一方、イーサリアムは「ワールドコンピュータ」としての機能を重視しています。DeFi(分散型金融)、NFT、レイヤー2ソリューションなど、多様なアプリケーションを支えるプラットフォームとしての安定運用が最優先事項となっているため、柔軟な発行設計が採られています。
| 項目 | ビットコイン(BTC) | イーサリアム(ETH) |
|---|---|---|
| 発行上限 | 2,100万BTC | 上限なし |
| コンセンサス | PoW(プルーフ・オブ・ワーク) | PoS(プルーフ・オブ・ステーク) |
| 供給調整メカニズム | 半減期(約4年ごと) | EIP-1559バーン + PoS発行調整 |
| 総供給量(2026年4月) | 約1,970万BTC | 約1億2,069万ETH |
| 主な位置づけ | デジタルゴールド・価値の保存 | スマートコントラクト基盤 |
EIP-1559とは?バーン(焼却)メカニズムの仕組み
イーサリアムの発行枚数を語る上で欠かせないのが、EIP-1559(Ethereum Improvement Proposal 1559)です。2021年8月のロンドンアップグレードで導入されたこの仕組みは、イーサリアムの経済モデルを根本的に変えました。
ベースフィーとバーンの仕組み
EIP-1559導入以前は、イーサリアムの取引手数料(ガス代)はオークション形式で決定されていました。ユーザーが高い手数料を提示すればトランザクションが優先的に処理される仕組みでしたが、手数料の予測が難しく、無駄に高い手数料を支払ってしまうケースが頻発していました。
EIP-1559では、取引手数料がベースフィー(基本手数料)とプライオリティフィー(優先手数料・チップ)の2つに分離されました。
- ベースフィー:ネットワークの混雑度に応じて自動的に調整される基本料金。このベースフィーは誰にも支払われず、バーン(焼却)されます
- プライオリティフィー:バリデータに直接支払われるチップ。トランザクションの処理優先度を上げたい場合に任意で設定します
つまり、イーサリアムのネットワーク上でトランザクションが発生するたびに、ベースフィー相当のETHが永久に消滅する仕組みになっています。これにより、ネットワークの利用量が多いほど、より多くのETHがバーンされるというメカニズムが実現しました。
累計バーン量の推移
2021年8月のEIP-1559導入以降、2026年2月時点で累計約460万ETHがバーンされています。当時のETH価格に換算すると90億ドル以上に相当する膨大な量のETHが、流通から永久に取り除かれたことになります。
バーン量はネットワークの利用状況によって大きく変動します。DeFiやNFT市場が活発な時期にはバーン量が急増し、逆にネットワークの利用が落ち着いている時期には減少します。特に2021年末から2022年初頭のNFTブーム時には、1日あたりのバーン量が新規発行量を大幅に上回る「デフレ状態」が観測されました。
The Merge(マージ)がもたらした発行量の激変
イーサリアムの発行枚数に最も大きなインパクトを与えたイベントが、2022年9月15日に完了した「The Merge(ザ・マージ)」です。これは6年以上の開発期間を経て実現した歴史的なアップグレードで、コンセンサスメカニズムをPoW(プルーフ・オブ・ワーク)からPoS(プルーフ・オブ・ステーク)へ移行するものでした。
新規発行量が約90%削減
The Merge以前、イーサリアムはPoWを採用しており、マイナー(採掘者)への報酬として毎日約13,000ETHが新規発行されていました。The Merge後はPoSに移行し、バリデータへのステーキング報酬として毎日約1,600ETHが発行されるようになりました。
これは約88%の発行量削減に相当します。年間ベースで見ると、PoW時代には年間約475万ETHが新規発行されていたのが、PoS移行後は年間約58万ETH程度にまで大幅に減少しました。
「トリプルハルビング」と呼ばれる理由
この劇的な発行量の減少は、暗号資産コミュニティで「トリプルハルビング(3回分の半減期に相当)」と表現されることがあります。ビットコインの半減期が発行量を50%ずつ減らすのに対し、イーサリアムのThe Mergeは一度に約88%の削減を実現しました。これはビットコインの半減期を3回分(50% → 25% → 12.5%)実行したのとほぼ同等のインパクトです。
エネルギー消費量も99.9%削減
The Mergeの副次的な効果として、イーサリアムネットワークのエネルギー消費量が99.9%以上削減されました。PoW時代はマイニングに膨大な電力が必要でしたが、PoSではステーキングによる検証で済むため、環境負荷が劇的に低減しています。これはESG投資の観点からも、イーサリアムの評価向上につながっています。
イーサリアムはデフレ通貨なのか?インフレとデフレの実態
EIP-1559によるバーンとThe MergeによるPoS移行を経て、イーサリアムが「デフレ通貨」になったという表現を目にすることがあります。実際のところ、イーサリアムの供給量はどのように推移しているのでしょうか。
ネットワーク活況時はデフレ、低調時はインフレ
イーサリアムの供給量がデフレ(減少)かインフレ(増加)かは、新規発行量とバーン量のバランスによって決まります。
- バーン量 > 新規発行量 → 供給量が減少(デフレ)
- バーン量 < 新規発行量 → 供給量が増加(インフレ)
The Merge直後の2022年後半から2023年前半にかけては、DeFi活動が活発でバーン量が多かったため、イーサリアムは実質的なデフレ状態を維持していました。しかし、2024年3月のDencunアップグレード以降は状況が変化しています。
Dencunアップグレードの影響
2024年3月に実施されたDencunアップグレードでは、レイヤー2(L2)のトランザクションデータをオフチェーンに移行する「Proto-Danksharding(EIP-4844)」が導入されました。これにより、L2の手数料が大幅に安くなった一方で、メインネット上でバーンされるガス代も減少しました。
その結果、2026年4月現在のイーサリアムは年率約0.23%の緩やかなインフレ状態にあります。The Merge以降、供給量は約95万ETH増加しています。ただし、PoW時代のインフレ率(年率約4%)と比較すると極めて低い水準です。
取引所のETH保有量は過去最低水準
供給面で注目すべきもう一つのデータがあります。2026年初頭の時点で、暗号資産取引所に預けられているETHの供給量は全発行枚数の約8.7%という歴史的な低水準まで減少しています。
これは多くの投資家がETHを取引所から引き出し、ステーキングやDeFiプロトコルに預けていることを示唆しています。取引所での売り圧力が低下している状態であり、長期的な価格形成にとってポジティブな要因と考えられます。
ステーキングが発行枚数に与える影響
イーサリアムのPoS移行後、ステーキングは発行枚数の増減に直接関わる重要な要素となっています。
ステーキングの基本的な仕組み
イーサリアムのPoSでは、バリデータ(検証者)になるために最低32ETHをネットワークにロック(ステーク)する必要があります。バリデータはトランザクションの検証やブロックの提案を行い、その対価としてステーキング報酬を受け取ります。
この報酬が「新規発行されるETH」にあたります。つまり、ステーキングに参加するバリデータが増えれば増えるほど、ネットワーク全体での新規発行量も増加する関係にあります。ただし、報酬率はステーキング総量の平方根に反比例するよう設計されており、参加者が増えるほど1人あたりの報酬率は低下していきます。
ステーキング参加率の推移
The Merge時点では約1,400万ETHだったステーキング総量は、その後着実に増加を続けています。2026年現在では、発行済みETHの相当な割合がステーキングに預けられている状況です。
ステーキングされたETHはネットワークのセキュリティ維持に貢献する一方で、流通市場から一時的に引き上げられるため、実質的な流通量を減少させる効果もあります。これもETHの需給バランスに影響を与える重要なファクターです。
リキッドステーキングの普及
近年では、リキッドステーキングと呼ばれるサービスが急速に普及しています。Lido、Rocket Pool、Coinbase(cbETH)などが代表的なプロバイダーで、32ETH未満の少額からでもステーキングに参加でき、預けたETHの代わりに流動性トークン(stETHなど)を受け取れます。
この流動性トークンはDeFiプロトコルでさらに運用できるため、ステーキング報酬を得ながら同時にDeFi収益も狙える「二重運用」が可能になります。リキッドステーキングの普及は、ステーキング参加率をさらに押し上げる要因となっています。
イーサリアムの発行枚数の今後の見通し
イーサリアムの総発行枚数は今後どのように推移していくのでしょうか。現在わかっている情報をもとに、考えられるシナリオを整理します。
ネットワーク利用拡大によるデフレ回帰の可能性
現在は緩やかなインフレ状態にあるイーサリアムですが、今後ネットワークの利用が拡大すれば、再びデフレ状態に回帰する可能性があります。特にDeFiの成長、NFT市場の回復、RWA(現実資産のトークン化)の普及などが進めば、メインネット上のトランザクション量が増加し、バーン量も増えることが期待されます。
レイヤー2エコシステムの成熟
Dencunアップグレード後のレイヤー2エコシステムは急速に成長しています。Arbitrum、Optimism、Base、zkSyncなどの主要L2チェーンは、安価で高速なトランザクションを提供し、多くのユーザーを集めています。
L2の活動が活発化すればするほど、最終的にはメインネットへのデータ書き込みも増加するため、間接的にバーン量の増加につながる可能性があります。レイヤー2とメインネットの関係は、イーサリアムの供給量に影響を与える重要な要素です。
プロトコルのアップデートによる変化
イーサリアムの開発コミュニティは継続的にプロトコルの改善を行っています。今後のアップグレードによって、発行ポリシーやバーンメカニズムが調整される可能性は常にあります。ただし、イーサリアムの開発は分散的なガバナンスのもとで慎重に進められるため、急激な変更が行われる可能性は低いでしょう。
投資家にとっての発行枚数の意味
イーサリアムの発行枚数は、投資判断においてどのような意味を持つのでしょうか。
希少性と価格への影響
一般的に、暗号資産の供給量が減少すれば、希少性が高まり、価格の上昇圧力になると考えられています。イーサリアムの場合、発行上限はないものの、EIP-1559のバーンメカニズムとPoS移行による発行量削減により、実質的な供給増加率は非常に低く抑えられています。
ネットワーク利用が活発な時期にはデフレ(供給減少)すら発生するため、「使われれば使われるほど希少になる」というユニークな経済モデルが成り立っています。
供給量の確認方法
イーサリアムのリアルタイムの供給量やバーン状況は、いくつかのツールで確認できます。
- Etherscan:イーサリアムのブロックチェーンエクスプローラーで、総供給量やバーン量の統計を確認できます
- ultrasound.money:EIP-1559導入後のバーン量やデフレ/インフレの状態をリアルタイムで可視化するダッシュボード
- beaconcha.in:PoSのビーコンチェーンに特化した情報を提供。バーン量やステーキング統計を確認できます
投資判断の参考として、定期的にこれらのツールでETHの供給状況をチェックすることをおすすめします。
よくある質問(FAQ)
イーサリアムの発行枚数に上限はありますか?
いいえ、イーサリアムにはビットコインのような発行上限は設定されていません。ただし、EIP-1559によるバーンメカニズムとPoS移行により、供給量の増加は極めて緩やかにコントロールされています。ネットワーク利用が活発な時期には、バーン量が新規発行量を上回り、供給量が減少することもあります。
2026年現在のイーサリアムの総発行枚数は?
2026年4月時点で、イーサリアムの総発行枚数は約1億2,069万ETHです。The Merge以降の年間増加率は約0.23%と非常に緩やかです。
イーサリアムは将来的に発行上限が設定される可能性はありますか?
現時点では、発行上限を設定する具体的な計画はありません。イーサリアムの設計思想では、ネットワークセキュリティの維持のために最低限の新規発行を継続することが重要とされています。EIP-1559のバーンメカニズムにより、実質的な供給コントロールはすでに機能しています。
バーンされたETHはどうなるのですか?
バーンされたETHは永久に消滅します。具体的には、誰もアクセスできないアドレスに送付されるため、二度と使用・取引することはできません。これにより、ETHの総流通量が恒久的に減少します。
まとめ
イーサリアムの総発行枚数は2026年4月時点で約1億2,069万ETHであり、ビットコインとは異なり発行上限は設定されていません。しかし、2021年のEIP-1559によるバーンメカニズムの導入と、2022年のThe Merge(PoS移行)による新規発行量の約88%削減により、供給量は高度にコントロールされています。ネットワーク利用が活発な時期にはデフレ状態になることもあり、「使われるほど希少になる」というユニークな経済モデルを実現しています。今後もレイヤー2エコシステムの成長やDeFi・RWAの普及によるネットワーク利用拡大が進めば、ETHの供給動向はさらに注目を集めるでしょう。
イーサリアム総発行枚数は何枚?上限なしの仕組みとバーンの影響を徹底解説をまとめました
イーサリアムの総発行枚数は約1億2,069万ETHで、発行上限はないものの、EIP-1559のバーンメカニズムとPoSステーキングによる発行調整により、実質的なインフレ率は年間約0.23%という低水準に抑えられています。The Merge以降の累計バーン量は約460万ETHに達し、取引所のETH保有割合も過去最低水準の約8.7%まで低下しています。ビットコインが「半減期」で希少性を生み出すのに対し、イーサリアムは「バーン」と「ステーキング」という2つの仕組みで供給量をダイナミックに調整するという独自のアプローチを取っています。暗号資産投資を検討する際は、こうした発行メカニズムの違いを理解した上で、EtherscanやBeaconcha.inなどのツールで最新の供給データを確認しながら判断することが大切です。



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