イーサリアムアップデート「デンクン(Dencun)」とは?仕組みや影響を徹底解説

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イーサリアム(Ethereum)は、スマートコントラクト基盤として仮想通貨市場を牽引するブロックチェーンプラットフォームです。そのイーサリアムが2024年3月13日に実装した大型アップグレード「Dencun(デンクン)」は、ネットワークのスケーラビリティとコスト効率を大幅に向上させる画期的なアップデートとして、暗号資産業界から大きな注目を集めました。

本記事では、デンクンアップグレードの仕組みや含まれる技術提案(EIP)、レイヤー2への影響、ガス代の削減効果、そしてETH価格や今後の展望まで、仮想通貨投資家やブロックチェーン技術に関心のある方に向けて詳しく解説します。

イーサリアムアップデート「デンクン(Dencun)」とは

Dencun(デンクン)とは、イーサリアムのコンセンサスレイヤー(Deneb)実行レイヤー(Cancun)の2つのアップグレードを組み合わせた名称です。「Deneb」と「Cancun」を合わせて「Dencun」と呼ばれています。

このアップグレードは当初2023年末に実装される予定でしたが、テストネットでの検証期間を経て延期となり、2024年3月13日(日本時間23時頃)にイーサリアムメインネットへの実装が完了しました。

デンクンは、2022年9月に実施された「The Merge(マージ)」以来の大規模なネットワークアップグレードとして位置づけられ、イーサリアムの開発ロードマップにおける「The Surge(サージ)」フェーズの第一歩とも言える重要なマイルストーンです。

デンクンの最大の目玉「EIP-4844(プロトダンクシャーディング)」

デンクンアップグレードに含まれる最も注目すべき技術提案がEIP-4844、通称「プロトダンクシャーディング(Proto-Danksharding)」です。この名称は、提案者であるProtolambda氏とDankrad Feist氏の名前に由来しています。

プロトダンクシャーディングの仕組み

EIP-4844の核心は、「Blob(ブロブ)」と呼ばれる新しいデータ形式の導入です。Blobは「Binary Large Object」の略で、大容量のバイナリデータを格納するための仕組みです。

ブロブはブロックに添付される「サイドカー」のようなもので、トランザクションデータを一時的に保持します。従来、レイヤー2(L2)のロールアップがイーサリアムのメインネット(L1)にデータを送信する際は、「CALLDATA」という領域を利用していました。CALLDATAはすべてのイーサリアムノードによって処理され、ブロックチェーン上に永続的に保存されるため、コストが高いという課題がありました。

ロールアップが必要とするデータは短期間で済むにもかかわらず、永続的な保存領域を使っていたことがコスト増の原因でした。EIP-4844では、ブロブデータは約18日間(4,096エポック)保持された後に自動的に削除されるため、ストレージの効率化が実現されています。

なぜプロトダンクシャーディングが重要なのか

プロトダンクシャーディングは、将来の本格的な「ダンクシャーディング(Full Danksharding)」に向けた準備段階として設計されています。ブロブを活用したトランザクション形式を先行導入することで、完全なシャーディング実装に必要なインフラを段階的に整備するという戦略的な意図があります。

この段階的なアプローチにより、イーサリアムのスケーラビリティ向上を安全かつ確実に進めることが可能になっています。

デンクンに含まれる9つのEIP(技術提案)一覧

デンクンアップグレードには、合計9つのEIP(Ethereum Improvement Proposal)が含まれています。それぞれの提案は、実行レイヤーとコンセンサスレイヤーに分かれて実装されました。

実行レイヤー(Cancun)の提案

EIP-4844(プロトダンクシャーディング)は前述の通り、ブロブトランザクションを導入し、L2からL1へのデータ転送コストを大幅に削減する提案です。

EIP-1153(トランジェントストレージ)は、トランザクション内でのみ有効な一時的なストレージ操作コードを導入するものです。トランジェントストレージはトランザクションが完了すると自動的に破棄されるため、ストレージの効率的な利用が可能になります。

EIP-5656(MCOPYオペコード)は、メモリコピーの効率を改善する提案です。従来はMSTOREとMLOADの2つのオペコードを組み合わせる必要があり、最低でも96ガスのコストがかかっていましたが、MCOPYオペコードの導入により約26ガスまで削減されました。

EIP-6780(SELFDESTRUCT制限)は、スマートコントラクトの自己消滅機能であるSELFDESTRUCTオペコードの動作を制限する提案です。この変更により、SELFDESTRUCTはコントラクト作成と同一トランザクション内でのみ実行可能となりました。

EIP-7516は、ブロブのベースフィーを取得するためのオペコードを追加する提案で、EIP-4844と連携して機能します。

コンセンサスレイヤー(Deneb)の提案

EIP-4788(ビーコンブロックルートの導入)は、親ビーコンブロックのルート情報を実行レイヤーに組み込む提案です。これにより、プロトコルレベルでのオラクル機能が実現され、リキッドステーキングプールやリステーキングアプリケーションが外部オラクルに依存せずにコンセンサス状態を参照できるようになりました。

EIP-7044(署名済み自発的退出の恒久的有効化)は、バリデーターが署名した自発的退出メッセージを恒久的に有効とする提案です。これにより、ステーキング運用の設計がシンプルになり、バリデーターの資金引き出しプロセスが簡素化されました。

EIP-7045(アテステーション包含期間の延長)は、アテステーション(ブロックの正当性を証明するデータ)がビーコンチェーンブロックに含められる最大スロット数を拡大する提案です。ネットワークのセキュリティと確認ルールの堅牢性が向上しています。

EIP-7514(バリデーター増加率の制限)は、バリデーターの増加率を指数関数的な成長から線形的な成長に変更する提案です。エポックあたりのチャーン(入退場)リミットに上限を設けることで、バリデーターセットの急激な膨張を防ぎ、ネットワークの安定性を維持します。

デンクンによるレイヤー2のガス代削減効果

デンクンアップグレードの最も実感しやすいメリットは、レイヤー2ネットワーク上のガス代(取引手数料)の大幅な削減です。

各L2ネットワークでの削減実績

デンクン実装後、主要なレイヤー2ネットワークではガス代が劇的に低下しました。

Starknetでは、アップグレード前に約2ドルかかっていたトランザクション手数料が、0.05ドル以下にまで低下したことが公式から発表されています。

Optimismでは、OP Labsがイーサリアム上のデータストレージにかかるガスコストが約20分の1に削減されると予測しており、実際にそれに近い効果が確認されています。

ArbitrumBaseといった他の主要L2ネットワークでも同様に、ネットワーク手数料の大幅な削減が確認されました。

総合的に見ると、レイヤー2のガス代は従来の10分の1から100分の1程度にまで低減されたケースもあり、ユーザーにとって非常に大きなメリットとなっています。

ガス代削減がもたらすメリット

ガス代の削減は、単にコストが下がるだけでなく、以下のような波及効果をもたらしています。

DeFi(分散型金融)の利用促進:手数料の低下により、少額の取引でもコスト負けしにくくなり、より多くのユーザーがDeFiプロトコルを利用しやすくなりました。

NFT取引の活性化:レイヤー2上でのNFTミントやトレードがより経済的になり、クリエイターやコレクターにとっての参入障壁が下がりました。

dApp開発の加速:開発者にとってもユーザーの利用コストが低いことは魅力的で、L2上でのdApp(分散型アプリケーション)開発がさらに活発化する好循環が生まれています。

デンクンがイーサリアムの供給量に与えた影響

デンクンアップグレードは、イーサリアムの経済モデルにも少なからず影響を与えました。特に注目すべきはETHのバーン量(焼却量)への影響です。

バーン量の減少とインフレ圧力

イーサリアムでは、2021年8月のEIP-1559導入以降、トランザクション手数料の一部が自動的にバーン(焼却)される仕組みが導入されています。The Merge後のPoS(Proof of Stake)移行と合わせて、ETHの供給量が減少する「デフレ通貨」としての性質が注目されていました。

しかし、デンクンアップグレードによりL2からのデータ投稿コストが大幅に削減されたことで、L1で発生するトランザクション手数料も減少し、結果的にバーンされるETHの量が低下しました。これにより、ETHの供給量が微増傾向に転じるという、予期しない経済的課題が生じたのです。

コインシェアーズの分析によると、デンクンアップグレード後のETHの供給量増加は、短期的にはインフレ圧力として作用する可能性が指摘されています。

長期的な視点での評価

一方で、バーン量の減少はデンクンの「副作用」であり、スケーラビリティの向上とユーザー体験の改善というプラスの効果と併せて総合的に評価する必要があります。L2の利用者が増加すれば、結果的にイーサリアムエコシステム全体の価値が向上し、長期的にはETHの需要増加につながるという見方もあります。

デンクンがノード運用に与える影響

デンクンアップグレードは、イーサリアムの分散性を維持するうえでも重要な改善をもたらしました。

ブロブデータは約18日間で自動的に削除されるため、ノードが保持すべきデータ量の増加が抑制されます。ブロックチェーンのデータ肥大化(ブロート)はノード運用に必要なハードウェア要件を引き上げ、分散性の低下につながりかねない問題でしたが、デンクンの設計によりこのリスクが軽減されています。

イーサリアムノードを運用するためのハードウェア要件を許容範囲内に維持することで、より多くの参加者がノード運用に参加できる環境が保たれ、ネットワークの分散性とセキュリティが守られています。

デンクン後のイーサリアム ー ペクトラアップグレードへ

デンクンアップグレードの成功を受けて、イーサリアムの開発は次のフェーズへと進んでいます。

2025年5月7日には「ペクトラ(Pectra)」アップグレードがメインネットに導入されました。ペクトラはThe Merge以来最大の技術更新とも言われ、ステーキングの効率化、バリデーター運用の改善、レイヤー2の拡張性向上、そしてユーザー体験の改善など、多岐にわたる機能強化が含まれています。

デンクンで導入されたプロトダンクシャーディングは、将来的なフルダンクシャーディングの実現に向けた足がかりであり、イーサリアムのロードマップ上では「The Surge」と呼ばれるスケーラビリティ強化フェーズの一部として位置づけられています。

今後のロードマップ

イーサリアムの開発ロードマップは以下のフェーズで構成されており、デンクンは「The Surge」の重要な第一歩です。

The Surge:スケーラビリティの大幅な向上を目指すフェーズ。デンクン(プロトダンクシャーディング)からフルダンクシャーディングへの移行が計画されています。

The Scourge:MEV(最大抽出可能価値)問題への対処とトランザクションの公平性を高めるフェーズです。

The Verge:ブロック検証の効率化を目指すフェーズで、Verkleツリーの導入が予定されています。

The Purge:過去のデータの整理・削減により、ノードの負担を軽減するフェーズです。

The Splurge:その他の重要な改善を取りまとめるフェーズです。

仮想通貨投資家にとってのデンクンの意義

デンクンアップグレードは、仮想通貨投資を行ううえでどのような意義を持つのでしょうか。

L2エコシステムの成長機会

ガス代の大幅な削減により、Optimism(OP)、Arbitrum(ARB)、Polygon(MATIC)、BaseといったL2プロジェクトのトークンにも注目が集まっています。L2の利便性が向上したことで、これらのネットワーク上のDeFiプロトコルやdAppの利用が活発化し、エコシステム全体の成長を後押ししています。

ステーキングへの影響

デンクンに含まれるEIP-7044やEIP-7514は、バリデーターの運用をよりスムーズにする改善です。ステーキングの運用設計が簡素化されたことで、機関投資家やステーキングサービスプロバイダーにとっての参入障壁が低下し、ETHのステーキング需要の拡大に寄与する可能性があります。

ETH価格への影響

デンクンアップグレード自体は技術的な改善であり、直接的に価格を押し上げる要因とは限りません。しかし、ネットワークの利便性向上はエコシステムの拡大を通じて中長期的なETH需要の増加につながると考えられています。2024年5月には米SECがイーサリアム現物ETFを承認するなど、制度面での進展も見られ、イーサリアムの投資環境は着実に整備されつつあります。

まとめ

イーサリアムの大型アップグレード「デンクン(Dencun)」は、2024年3月13日に実装された歴史的なアップデートです。EIP-4844(プロトダンクシャーディング)を中心とした9つの技術提案により、レイヤー2のガス代を最大100分の1にまで削減し、ネットワークのスケーラビリティを大幅に向上させました。一方で、L1のバーン量減少によるインフレ圧力という副作用も確認されていますが、エコシステム全体の成長と利用拡大を通じた長期的な価値向上が期待されています。デンクンはイーサリアムの進化の通過点であり、今後のフルダンクシャーディング実現に向けた重要な基盤として、その意義はますます大きくなっていくでしょう。

イーサリアムアップデート「デンクン(Dencun)」とは?仕組みや影響を徹底解説をまとめました

デンクン(Dencun)は、イーサリアムの実行レイヤー「Cancun」とコンセンサスレイヤー「Deneb」を統合した大型アップグレードです。最大の注目点であるEIP-4844(プロトダンクシャーディング)により、ブロブと呼ばれる新しいデータ形式が導入され、レイヤー2からレイヤー1へのデータ転送コストが劇的に低下しました。StarknetやOptimism、Arbitrumなどの主要L2ネットワークではガス代が大幅に削減され、DeFiやNFT、dApp開発のさらなる活性化に貢献しています。また、バリデーター運用の効率化やノード負担の軽減といった改善も含まれ、イーサリアムネットワークの基盤強化が図られています。今後はフルダンクシャーディングの実現やペクトラアップグレードなど、さらなる進化が控えており、イーサリアムエコシステムの成長に注目が集まっています。

※診断結果は娯楽を目的としたもので、医学・科学的な根拠はありません。
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